2004年4月12日(月)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】ホワイトハウスは十日、二〇〇一年九月の同時多発テロ発生一カ月前の八月六日にブッシュ大統領に提出されたテロ活動に関する機密報告書を公開しました。報告書は、国際テロ組織アルカイダの指導者ビンラディンがハイジャックを含めて米国内でテロ攻撃を行う可能性があると指摘していました。
報告書は、一九九八年以来、連邦捜査局(FBI)の捜査の結果、「(テロ組織が)米国でハイジャックやほかのタイプの攻撃を準備する疑い」があるとし、彼らの活動を注視し続けていると報告していました。
また、「確証はなかったが、(ビンラディンが)同僚の解放を求めて米航空機をハイジャックしたいと考えているなど、いくつかのセンセーショナルな報告がある」と述べています。
クリントン政権による一九九八年のアフガニスタンへのミサイル攻撃後、「ビンラディンはワシントンに報復攻撃をしたがっていた」ということも報告し、「ビンラディンが米国内でテロ攻撃を行おうとしているという報告が外国政府や報道機関から秘密裏に寄せられていた」と指摘。ある程度のテロ情報や警告がブッシュ大統領に報告されていたことが明らかになりました。
八日、テロをめぐる政権の対応について調査している国家調査委員会の公聴会で宣誓証言したライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、この報告書について、「古い情報に基づくものであり、警告ではなかった」と断定し、ブッシュ政権は必要なテロ対策を講じていたと主張しています。しかし、十日付のニューヨーク・タイムズ紙は、米政府関係者の話をもとに「ブッシュはテロ以前に警告を受けていた」として、ライス証言と機密報告書に矛盾があると論評しました。