2004年4月12日(月)「しんぶん赤旗」
|
「三人を危険にさらしたのは自衛隊派兵。自衛隊の撤退を」――。十一日午後、市民団体、ワールドピースナウがよびかけた首相官邸前での緊急行動三日目、三人の無事解放をねがう約二千五百人の人垣が東京・千代田区の首相官邸を取り巻きました。
ワールドピースナウ実行委員会の高田健さんは、今井紀明さん、高遠菜穂子さん、郡山総一郎さんを拘束したグループが二十四時間以内に三人を解放するという報道をめぐって経過報告。「三人はイラクの人たちの友人で、自衛隊派兵に反対していたというメッセージを送りつづけた。拘束の原因をつくったのは自衛隊の派兵だ」と批判しました。
衆院議員面会所から道路にまであふれかえる若者たちの前で、三家族が涙ながらにあいさつしました。
高遠菜穂子さんの弟、修一さんは「お礼をいいたくてきました。まだ危機的な状況で、生存の確認さえできていない。力をかしてください」。
今井紀明さんの母、直子さん(51)が「こんなに多くの方たちがいて、ありがとうございます。日本だけでなく世界中のNGO、NPOが動いてくれて」と声を詰まらせました。
郡山総一郎さんのいとこの三浦道さんは「みなさんの顔をみたら、すごくうれしくて。思いを国に伝えてくれたことに感謝しています」と語りました。参加者からは「感謝するのはわたしたち」と声があがり、大きな拍手につつまれました。
緊急行動には日本共産党の穀田恵二、山口富男両衆院議員、吉川春子参院議員が参加し、激励あいさつしました。
穀田議員は「全国津々浦々で自分のできることはと心を寄せ運動し、大きなうねりとなった。自衛隊派兵が人道支援を阻んでいることがはっきりした」と強調。山口議員は「いま三家族と会ってきたばかりですが、最初のことばが国民の運動の結果ということだった。イラクの人たちのことを思う三人の活動が支援の輪を広げた」と激励。吉川議員は「国民の命がかかっているのに、『自衛隊の撤退はしない、テロに屈しない』という小泉首相の無神経さに腹が立った。力をあわせて自衛隊撤退をさせましょう」と訴えました。
同日夜、首相官邸前で劣化ウラン弾の禁止を求める市民団体やワールドピースナウが、自衛隊の即時撤廃を求める行動をおこないました。犯人側の要求した期限まで、残り二時間を切った午後七時すぎ。首相官邸前には、かけつけた人たちでどんどん増え、二千五百人を超えました。
被害者の家族も参加し、「最後まであきらめない!」と決意と感謝の思いを訴え。参加者は、シュプレヒコールでこたえました。高遠菜穂子さんの妹、井上綾子さんの「集まってくれた人たち、世界中にいる励ましてくれる人たちに感謝します」との訴えに、一緒に涙ぐむ支援者の姿も。集まった人たちは「頑張れ」「自衛隊はただちに撤兵させよう」などと声をかけ、家族一人ひとりを励ましていました。「命が一番大事なものじゃないんですか」と井上さんは、涙ながらに訴えました。