2004年4月14日(水)「しんぶん赤旗」
「米国が海外で引き起こす戦争に日本を本格的に参戦させる『武力攻撃事態法』の枠組みにそって、米軍支援や国民総動員の体制を具体化するものだ」。十三日の衆院本会議で日本共産党の赤嶺政賢議員が明らかにした有事関連法案の問題点は――。
昨年六月に成立した武力攻撃事態法は、日本が武力攻撃を受ける前の段階である「武力攻撃予測事態」から、自衛隊が米軍の軍事行動に参戦し、地方自治体や民間を強制動員することを定めたものです。それを具体化する法案の一つが、米軍行動円滑化法案です。
「米軍の軍事行動のためにあらゆる障害を取り払い、無限定に米軍を支援する仕組みをつくるものだ」――。赤嶺氏は、海外で戦争を起こしている米軍への後方支援を初めて定めた「周辺事態法」(一九九九年成立)の制約を突破する法案であることを明らかにしました。
周辺事態法では、(1)米軍の支援は戦闘が行われていない「後方地域」に限定され、(2)武器・弾薬の提供は「憲法上、慎重な検討を要する」として認められていません。ところが「円滑化法案」では、(1)米軍支援の地域的な限定は一切なく、(2)「予測事態」から弾薬の提供ができます。政府でさえ違憲としている海外での「米軍の武力行使との一体化」です。
赤嶺氏は「『周辺事態』も『予測事態』も日本に対する攻撃が行われていない事態なのに、なぜ今回、これらの措置が可能になるのか」と追及。周辺事態法では強制力のなかった地方自治体や事業者(国民)による米軍協力も、「円滑化法案」では、「責務」を負わされると指摘しました。
井上喜一有事法制担当相は「わが国の平和と安全のため、万全の体制を確保するのは当然のこと」と開き直りました。
特定公共施設利用法案も、周辺事態法の制約を突破するものです。
赤嶺氏は、同法案について、空港・港湾を管理する地方自治体などに対し、「予測事態」から米軍・自衛隊の優先使用を要求し、従わない場合は首相による「代執行」まで定めていると指摘しました。
空港・港湾の米軍使用は、周辺事態法では自治体に協力するよう求めるだけにとどまっています。これに対し「利用法案」は「米軍支援のために公共施設を強制使用するものだ」と批判しました。
赤嶺氏は、自民・民主・公明各党が協議を進めている「緊急事態基本法」についても指摘。「原因も、事態の様態も異なる武力攻撃とテロ、自然災害をひとくくりにすることは、わが国社会と国民生活のすべてに有事法体制を持ちこむもの。人権侵害をいっそう拡大する」と批判しました。井上担当相は「与党間の議論を見守り、必要な検討を行う」と答弁しました。