日本共産党

2004年4月15日(木)「しんぶん赤旗」

情勢の混乱“少数派”の仕業

米大統領の会見

イラク戦争の破たん繕う


 ブッシュ米大統領は十三日、混迷を深めるイラク政策について釈明しました。臨機応変の受け答えができない同氏が、就任以後三年三カ月でわずか三度目の公式記者会見に臨んだこと自体、ブッシュ政権が今イラク問題で、どれほど危機に追い込まれているかを示しています。

 ところが、その中身は、これまでの横暴な政策への何の反省もなく、イラク情勢の混乱を(1)フセイン政権残党(2)イスラム過激派(3)他の諸国からのテロリスト―の三種類の少数派の仕業と決めつけ、「必要なら決定的な武力を使って」治安を維持するという、既に破たんが明らかになった武力制圧路線の繰り返しでした。

 これは、イラク・フセイン政権打倒の戦争を「対テロ戦争」だとこじつけたにとどまらず、フセイン元大統領を拘束したあとの占領下の軍事作戦をも「対テロ戦争」だとする虚構にしがみつき、合理化しようとするものです。米国が強行する軍事作戦に反対する勢力をすべて「テロリスト」呼ばわりし、「テロに屈服しない」との看板でイラク平定戦争を美化しようというのです。

 ブッシュ氏は、今日のイラク情勢は「激烈」だが、状況が混乱しているのはイラクの一部にすぎず、現在イラクで起こっていることは「内戦でも民衆蜂起でもない」と断言しました。

 しかし世界中のメディアは今、「これはイラクのインティファーダ(民衆蜂起)だ」と指摘しています。イスラエルの占領に抗議するパレスチナ人のインティファーダのように、米軍主導の外国の軍事占領に抗議する民衆蜂起が起こっているのだというのです。

 フセイン政権下で冷遇されていたため米軍による同政権打倒を歓迎したと報じられたイスラム教シーア派のイラク国民からも米軍の占領に抗議する声が高まっています。これが占領への抵抗という現状を、よく示しています。

 十一月の米大統領選での勝利を至上命題とするブッシュ政権は、米国好みの一部勢力への形だけの「権限移譲」を六月末に行い、イラク戦争の「成功」を宣伝することに躍起となっています。

 しかし、その予定表の押し付けに同意しない勢力をテロリスト呼ばわりして武力弾圧することは、米政権が標ぼうする「イラク民主化」とは全く逆行しています。ブッシュ政権によるイラク戦争の虚構と、その破たんは、いよいよ誰の目にも明らかになっています。

坂口明記者


米大統領の声明(要旨)

 ブッシュ米大統領が十三日の記者会見の冒頭で読み上げた声明の要旨は次の通り。

 一、イラクでの一連の暴力事件は、旧フセイン政権の残党、イスラム過激派、諸外国からのテロリストの三グループが起こしている。これは内戦ではないし、民衆蜂起でもない。イラクの大部分は相対的に安定している。

 一、現在および将来の米駐留軍の定員は現場の状況によって決める。追加の兵力が必要なら派遣する。(記者会見での回答―今までイラクには十一万五千人の米兵が駐留していたが、現在、部隊の交代で十三万五千人がいる。それを駐留軍司令官が維持したければ、そうできる)

 一、イラク人への主権移譲は六月末の期限を守ることが重要だ。六月末に、米国とすべての同盟諸国はイラク政府と正常な外交関係を樹立する。

 一、イラクの成功と安全確保に向けた米国の関与が六月末に終わるわけではない。七月一日以降も米国の復興支援と軍事的関与は継続する。

 一、イラクでは断固たる行動を取る以外に安全な代案はない。米国の意思が試されている。動揺してはならない。


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