日本共産党

2004年4月15日(木)「しんぶん赤旗」

「多くの人が味方。一人で思いつめないで」

中高生が郡山さん激励

拘束された総一郎さん 母校から千羽づると作文


 イラクで拘束された三人の日本人の家族にたいし、全国各地から激励が相次いでいます。同時に、政府・与党側から人質の日本人にたいし、事件は「自己責任」として攻撃する発言も目立ちます。匿名でいやがらせ電話などを家族らにしかける卑劣な動きも。こうしたなかで、家族を激励し、政府の責任こそ重大だという怒りの声が高まっています。


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生徒から寄せられた激励の作文をみせる郡山きみ子さん(左)と安藤校長=14日、東京・千代田区

 イラクで人質になっている郡山総一郎さん(32)の母校、日章学園中学校・高等学校(宮崎県佐土原町)の安藤忠次校長(64)が十四日、都内で郡山さんの母、きみ子さん(55)を訪れ、全校生徒で折った千羽づるや作文を手渡して激励しました。千羽づるなどは新学期が始まった昨日、安藤校長が全校生徒(千三百四十四人)に呼びかけたもの。

 生徒たちは、(1)総一郎さんの生命尊重と即時解放を求める嘆願書(2)千羽づる(3)激励の作文――を作成し、嘆願書は政府に届けました。

 激励の作文は、生徒の希望にそって、お母さんあて、家族あて、総一郎さんあてと三種類つくりました。

 ある女子生徒(高一)はこんなお母さんあての作文を書きました。

 「多くの人が味方です。一人で思いつめないでください。必ず生きて帰ってくる息子さんのためにお体にお気をつけ下さい」

 安藤校長がこの作文を読み上げると、きみ子さんは「息子が元気に帰ることをあきらめず、願っています」と涙をこらえ話しました。


家族へ中傷相次ぐ

 十三日夜から十四日にかけて、北海道庁には「国の方針に反対しているのに(家族に)公の場を貸すべきではない」などのメールやファクスが、数十件にのぼったといいます。

 十三日の閣僚会議後の記者会見で、麻生太郎総務相が「なんだか知らないけど、イラクの話を北海道東京事務所でやっている。不思議に思わないか」などとのべたあとのことでした。

 これにたいし、高橋はるみ知事は、十三日記者会見をおこない「私も子を持つ母であり、家族のいろいろな気持ちは理解できる」「できるかぎりお手伝いしたいのは、われわれの気持ちだ」と、家族を気遣いました。

 竹内行夫外務事務次官が十二日の記者会見で、「自己責任の原則」を主張し、人質となった行為を批判しましたが、こうしたなかで、家族へのいやがらせ電話やはがきなども相次いでいます。

 宮崎県の郡山総一郎さんの実家には激励の手紙とともに、差出人不明のひぼう中傷の封書がとどき、北海道札幌市の今井紀明さんや千歳市の高遠菜穂子さんの実家にも、「死ね」などの心無いいやがらせ電話などがきていることが問題になっています。


3人の若者と、卑劣な中傷している人と、どちらが必要か

番組で筑紫哲也さん

 TBS系番組「NEWS23」で十三日、キャスターの筑紫哲也氏は、イラクで人質になっている日本人の家族にひぼう・中傷が相次いでいることについて、「問題だ」と批判しました。

 筑紫氏は、人質となった三人にたいして「危ないところに行ったのが自業自得だ」という議論について、「日本政府はイラクを完全に危ない所だとはみなしてはおりません。自衛隊が派遣できる根拠も、イラクに安全なところ、『非戦闘地域』があるという前提でやっている」「もしそれがフィクションだとしたら、自衛隊の派遣そのものの基礎が崩れてしまうことになります」と指摘しました。

 そして「三人のイラクでとらわれている人たちは、少なくとも自分の利益のために何かをしたということはありません」「私たちはこういう若者を必要としているのか、いないのか、さらに卑劣な中傷をしている人たちと、どちらを必要としているのか、考えてみていいことではないでしょうか」と結びました。


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