2004年4月16日(金)「しんぶん赤旗」
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タクシー労働者でつくる自交総連・日本交通労働組合品川支部は十五日午前七時から二時間のストライキを決行しました。八十四人が参加し、「スト決行中」ののぼりを立て、車庫を出ていくタクシーの運転手一人ひとりにビラを手渡しました。
日本交通は、今期中間決算で三億四千万円の経常利益をあげる一方、賃金カットを労働者に強要しています。チケットやカードで客が支払った場合は、支払い額の3%を賃金カット。高速道路を使って客を運んでも、帰りの高速道通行料は会社が負担しません。
入社して八年目という野口文徳さん(47)は「タクシーチケット・カード支払い分で月に一万円から一万五千円、高速道の帰路自己負担で約二万円は給料が減っている。政府の年金改悪案はひどい。根本から見直してほしい」と話します。
スト集会で、川崎一則支部長は、年金制度が改悪されると、現在年三十二万六千円の厚生年金保険料を払っている五十一歳の組合員が、六十三歳の定年時には四十二万二千円も払うことになると指摘。「すでにギリギリの生活を強いられている給料をさらに減らすものだ」と訴えました。
あいさつにかけつけた全労連の熊谷金道議長は、政府・与党がイラク人質事件の陰で、大型連休前にも法案を衆院で押し通そうとしていると批判。「労働者にしわ寄せするだけの年金制度大改悪を断固阻止しよう」と呼びかけました。
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NTT労働者でつくる通信産業労働組合は十五日、始業時から午前十時まで、全国三十五都道府県、二十九支部・二十七事業所・七十六拠点で七百七人の組合員がストライキに立ち上がりました。
東京・大手町のNTT持ち株会社前。「コイズミ・カンザキ・サカグチ」侍を等身大でかたどり、「これが年金つぶし三悪人だ」と書いた人型の大きなプラカードや「ストップ!年金大改悪・スト決行中」の立て看板などが並びます。
午前八時からスト突入集会開催。公的年金・企業年金改悪反対、リストラ反対・不当な広域配転の撤回を盛り込んだストライキ宣言を確認しました。
岩崎俊委員長があいさつし、生存権をゆるがす賃上げゼロ回答を許さず、公的年金・企業年金改悪の撤廃を求めていこうとのべました。
野形葵書記長は、年金改悪反対のたたかいで全国キャラバンを行い、三十三都道府県、四百四十カ所で宣伝し、二万一千枚のビラを配りきったことを報告。全労連、国公労連、航空連代表らが連帯のあいさつをしました。
イラクでの緊迫した情勢をうけ、「(イラクで拘束された)三人の日本人の早期解放を求める決議」を採択し、日本人の一刻も早い解放と、イラクからの自衛隊即時撤退を要求しました。
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初夏のような日差しの十五日、年金改悪案を廃案に追い込もうと、国会前に千二百人が座り込みました。二重、三重と連なる座り込みの列は、衆院第二議員会館前から参院議員会館を超え、四百メートル近くになりました。請願デモも行われました。
埼玉・飯能市から自転車を走らせてきたのは、埼玉土建飯能日高支部の秋郷伸一さん(43)。建築塗装の仕事をしています。「国民年金なので、満額でも六万円。あんまり低くて生活どころじゃない。職人は将来のことを考えたら不安で仕方がない。暮らせる年金にしてほしい」といいます。
昼休み集会では、国民春闘共闘代表委員の熊谷金道さん(全労連議長)があいさつに立ち、「世界的にも異常な国民負担増の年金改悪案を、国民とともに廃案にしよう」と訴えました。
参加者からは、「アンケートでは将来不安が大きく、中心は年金だ。給付が下がる法案は受け入れられない」(全農協労連)、「三月末から年金行進をおこない、小田原市や箱根町など行政との懇談では、『年金が下がれば、温泉にくる人も減ってしまう』と訴えられた」(神奈川社保協)などの発言が続きました。
横浜の港湾労働者、岡本光司さん(60)は「年金を老後の楽しみとして働いてきた。それが、もらうのは下がる、払うのは上がるじゃ、何のために生きてきたのかわからねぇじゃねぇか。政治を変えるしかねぇな」と肩をいからせて話しました。
座り込みは、国民大運動実行委員会、中央社会保障推進協議会、全労連関東甲信越ブロック(首都圏)、首都圏交運共闘が主催したもの。日本共産党から山口富男、塩川鉄也の両衆院議員、小池晃、畑野君枝、八田ひろ子の各参院議員があいさつし、激励しました。
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全日本建設交運一般労働組合(建交労)鉄道東京地方本部は十五日、JR新橋駅前で正午すぎからストライキ突入集会を開きました。支援の労働者を含めて百五十人が参加。「団結」の文字の赤い鉢巻きやゼッケン、「スト決行中」の横断幕、のぼりを掲げ、「年金改悪反対」と唱和しました。
新橋分会の原啓次分会長(56)は「年金改悪反対でストに入ると話したら、職場の人たちが激励して送り出してくれた。労働者の力で改悪をやめさせたい」と話します。
東京地本の田村直美委員長は「小泉内閣の年金改悪は公的年金制度を崩壊させる大改悪で、断じて許せない。安全・安定輸送の確保、労働条件の改善を求め、たたかいを盛り上げよう」とのべ、正午から七時間のストライキを宣言しました。
全労連の西川征矢副議長、東京地評の川口英晴副議長らが、国民の八割が賛成していない年金改悪法をこの国会で通してはならないと訴えました。日本共産党の今村順一郎・都委員会副委員長(参院東京選挙区候補)が激励しました。
建交労では関西支部がストを実施し、全国約百カ所で、年金改悪に反対の労資共同のアピールを出しています。
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大阪市北区の扇町公園で十五日、「ふざけるな年金大改悪 府民・労働者決起集会」(大阪労連主催)が開かれ、四千人が参加しました。
大阪労連の岩佐敏明議長が「政府の年金改悪法案は保険料を上げ、給付を下げるもの。全力で廃案に追い込もう」とあいさつ。各労組・団体代表は「毎週駅頭で署名を訴え、連合労組にも協力を訴えると署名に応じてくれた」(西淀川労連)、「二百二十八の職場で学習会を開き、老人クラブなどに申し入れを広げている」(大阪自治労連)と報告しました。
岸和田市の山下政子さん(63)は「月七万円の年金では家賃を払ったら生活できない。同居の娘の収入が頼りですが、それでも生活は苦しい。改悪は絶対に止めたい」と話していました。
この日、府内で年金改悪反対を掲げ、百二十四職場のストライキやタクシーパレード、早朝宣伝が繰り広げられました。
大阪社会保障推進協議会の井上賢二会長、日本共産党の山下よしき前参院議員が連帯あいさつ。山下氏は、イラクの日本人人質事件で日本政府に責任ある対応と米軍によるイラク国民への無差別攻撃中止を求めました。
京都府内各地で十五日、「年金改悪許すな」「雇用を守れ」と宣伝や署名、デモ行進などが行われました。
早朝ストライキや門前・駅頭宣伝に始まり、京都社会保険事務局のある京都市四条大宮で座り込みを実施。夜には円山音楽堂で府民大集会を開くなど、年金改悪阻止や自衛隊撤退を訴える声が響きました。
自交総連京都地連は京都市内でタクシーデモ。車体に「年金改悪反対」「安心・安全なタクシーを」などのステッカーを張った三百五十台が午前十一時、市内の四カ所から市中心部にむけて出発。「規制緩和」による競争激化・労働条件悪化の実態を告発し年金改悪反対をアピールしました。
京聯(きょうれん)労組は、他労組のタクシーと合わせて九十台で実施しました。深夜一時まで勤務し、仮眠後にかけつけた組合員の松田隆司さん(48)は「給料は生活保護以下に落ち込んでいます。年金問題でも『規制緩和』でも、労働者の健康と生活を守るためには政治を変えるしかない」と話し、出発しました。