2004年4月17日(土)「しんぶん赤旗」
年金改悪法案は、自民、公明両党が連休前の衆院通過をねらって緊迫した情勢となっています。有事関連法案や道路公団民営化法案も含め「五月の大型連休前に衆院通過させる」(自民党・中川秀直国対委員長)という“採決先にありき”の方針です。
政府案は、厚生年金保険料を十四年連続で毎年一万円ずつ引き上げる一方、給付水準は実質15%も引き下げるもの。保険料引き上げと給付水準引き下げを国会審議ぬきで毎年自動的に行えるようにする年金大改悪です。
「年金財源」に消費税増税を充てる民主党案を含めて、委員会で審議が行われたのは九、十四の両日のみ。七千万人の加入者と三千万人の受給者に被害が及ぶ法案をわずかな審議で通すなど、許されません。
この短時間の審議のなかでも、低額年金など根本問題に対する解決策がまったくない政府案の重大な欠陥が浮かび上がっています。民主党案でも、「最低保証年金制度」から現在の無年金、低額年金者が除外されることが明らかになっています。
しかも、年金財政を預かる社会保険庁の元長官が日本歯科医師会をめぐる贈収賄事件で逮捕されるという前代未聞の事件が発生しました。厚生労働行政の根本にかかわる重大問題であり、徹底解明が求められています。
日本共産党は、「法案の出口を一方的に決めてそれに向かって審議促進をはかるなど許されない。日歯連問題を含めて徹底審議こそ尽くすべきだ」(山口富男衆院議員)と主張しています。
「日本有事」でもないのに米軍のおこなう戦争への支援と国民総動員の体制を具体化したのが、有事関連法案です。
民主党は、自民、公明両党との間で、同党が求めていた緊急事態基本法案について「次期通常国会までに成立を図る」ことで合意。これを受けて衆院有事特別委員会の自民、民主両党理事からは「十九日から毎日でも委員会を開く」(民主)、「走らせてもらう」(自民)との声も。中身抜きで審議を早める流れになっています。
米軍の無法な戦争で、米軍支援などに国民を強制動員する有事法案を、与党・民主合意をたてにまともな審議抜きで強行することは許されません。
小泉「構造」改革路線の“目玉”とされる道路公団民営化法案は、十九日に地方公聴会、二十日に参考人質疑が決まっています。与党は来週以降にも衆院国土交通委員会で採決することを狙っています。
審議のなかでは、小泉首相自身が「必要ならどういう建設方法があるか協議する」と答弁。国民の願いに反してムダな高速道路を今後も造り続け、四十兆円の借金を国民に押し付けるなど「『改革』の名に値しない」(日本共産党の穀田恵二議員)実態が浮き彫りになっています。いまこそ徹底審議が必要です。