2004年4月21日(水)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の吉井英勝議員は二十日の衆院有事法制特別委員会で、「国民保護」法案が想定する「住民の避難」が非現実的であることを指摘し、「最大の国民保護は戦争や有事を招かない外交の力、政治の力を強めることだ」と強調しました。
吉井氏は、法案が「武力攻撃予測事態」から住民の避難を実施することにしていると指摘。政府が「武力攻撃」として例示している「弾道ミサイル攻撃」と「ゲリラや特殊部隊による攻撃」はそもそも「予測」ができず、それにもとづく避難も不可能ではないかとただしました。
さらに、「航空機や船舶により地上部隊が上陸してくるような攻撃」「航空機による攻撃」については、政府の担当者自身が「現実にはほとんどあり得ない」とのべていることを指摘。鳥取県がおこなった「住民避難シミュレーション」で、同県東部の住民二万六千人がバスで兵庫県に避難するのに十一日間を要すると報告され、鳥取市も「市民十二万人を避難させることは検討の余地を超えている」と表明したことを紹介、「県の規模で避難は不可能ではないか」と迫りました。
井上喜一有事法制担当相は「(各自治体が)考えられる限り、よく検討し、合理的、迅速に避難できる方法を検討してほしい」とのべるだけで、具体的な対処を示しませんでした。吉井氏は「現実的に自治体は考えようがない」とのべ、有事を生み出さないことが重要だと重ねて強調しました。