日本共産党

2004年4月22日(木)「しんぶん赤旗」

崩れた自衛隊派兵の根拠

それでもイラクにとどまるのか


 イラク全土に広がる占領軍とイラク国民との深刻な衝突―。米英主導の占領統治の破たんが明らかになる中、二十―二十一日の衆参本会議では、日本共産党の高橋千鶴子衆院議員と小林みえこ参院議員が自衛隊のイラクからの撤退を強く要求しました。これに対し政府は「国際社会がイラクをこれまで以上に支援することが重要になっている」(福田康夫官房長官)と、あくまで派兵継続に固執。イラクに軍隊を派兵する国の撤退が相次ぐなか、異常な突出ぶりです。

 田中一郎記者


全土まさに戦闘地域

 政府は、イラクの治安情勢について「全般として、依然予断を許さない状況にある」(福田官房長官)「(サマワでも)テロ等の可能性を否定することはできない」(川口順子外相)としています。一方で、自衛隊派兵の最大の要件である「非戦闘地域」が成り立つかどうかについては、「要件を満たさなくなったとは考えていない」(同)と強弁しています。

 しかし、イラク中部ファルージャでは米軍が街を包囲し、無差別攻撃でイラクの民間人六百人以上を殺りく。二十一日には南部バスラで警察署三カ所で爆発が起こるなど、まさにイラク全土が戦闘状態です。

 米英主導の「有志連合」も、スペインに続き、ホンジュラス、ドミニカもイラクからの軍隊撤退を表明するなど、破たんしつつあります。

 政府は「さまざまな事情から派遣の見直しを表明した国は一部あるが、派兵継続を明確にしている国も多い」(川口順子外相)と強がりますが、「有志連合」への影響も「全くないとは言わない」(石破茂防衛庁長官)と否定できません。

 陸上自衛隊の派兵先であるサマワでは、宿営地付近に砲弾が撃ちこまれ、オランダ軍と武装勢力との銃撃戦も起きています。「非戦闘地域」などとはほど遠いのが実態です。こうした事態を受け、陸自部隊は、今も道路改修などの「公共施設の復旧」活動を中断中です。

地元聖職者も「撤兵を」

 政府は、自衛隊の行う活動は「人道復興支援」であり、「米軍の占領行為に加担するものではない」「地元イラク人からも高い評価を得られるものと確信している」(福田官房長官)と、派兵を合理化しています。

 しかし、その根拠も崩れています。

 すでに航空自衛隊は、武装した連合軍兵士の空輸も実施しており、占領軍への直接支援に組み込まれています。

 「イラク人からの高い評価」というものの、イスラム聖職者が相次いで自衛隊の撤退を求める声を上げるなど、自衛隊の派兵がイラク人から米占領軍への協力者としてしか見られていないことが明らかになりました。シーア派聖職者は「(自衛隊の活動が)人道支援のためでも、だめなものはだめだ」と自衛隊の駐留を拒否しています。

 イラク国民から撤退を求められても、陸自が攻撃を受け、また今後受ける可能性があっても撤退しない―。政府のこの理屈のどこに道理があるのか。

 今こそ自衛隊を撤退させることが政府の「自己責任」です。


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