2004年4月22日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の小林みえこ議員が二十一日の参院本会議で行った代表質問は以下のとおりです。
私は日本共産党を代表してイラクでの人質問題についての政府報告について質問します。イラクで人質にされていた日本人五名が無事に解放されました。元気な姿をみてほんとに胸をなでおろすおもいです。
いまイラクでは、全土で占領軍とイラク国民との衝突がひろがっています。その最大の問題がファルージャを中心とした米軍の掃討作戦です。米軍は町全体を封鎖し、包囲した上で、爆撃機や攻撃ヘリで住民を無差別に殺りくしています。米国人の殺害事件自体は許されないことですが、クラスター爆弾まで使い、イスラム教の礼拝所を爆撃、罪のない子どもたちや市民六百人以上の命をうばっています。犠牲になっているのは子どもであり、女性であり、お年寄りです。私は、日本の子どもの命も、イラクの子どもの命も等しいと思います。政府は、米軍の掃討作戦によってイラクの子どもたちがおびえ、その命が奪われている事態を放置してもいいというお考えですか。答弁を求めます。
こうした米軍の無差別の殺りくについて占領当局が任命したイラクの統治評議会は、「駐留米軍に対し、中部ファルージャでの攻撃を即時停止するよう求める」と、批判の声明をだしています。いまこそ、日本政府はアメリカに対し、この無法な攻撃をただちに中止するよう要求すべきではありませんか。官房長官の明確な答弁を求めます。
人質事件を通じてあきらかになったことはイラクの人々が自衛隊の撤退をつよく求めているということです。人質解放にご尽力されたイラク・イスラム聖職者協会のクベイシ師は、十八日のインタビューで、「自衛隊は海外に出てはならなかったのにイラクに来てしまった」「日本の民間人による人道支援は成功しているのに、自衛隊の派遣で日本の印象が悪くなるのは残念だ」とのべました。
また、シーア派の聖職者が、テレビのインタビューで、「日本人の解放を求めている。しかし、日本への批判をやめたと思われては困る、日本はアメリカの圧力に屈して自衛隊を派遣し、占領に参加させた。たとえ、人道支援でもおなじことだ」とのべました。
外務大臣は、このように、宗教指導者が次つぎと自衛隊の撤退を求めていることをどう受け止めているのですか。さらに、日本政府は、人道復興支援活動をしていると強調し、その撤退をさせないことは、イラクの宗教指導者の発言からしても理由になりません。それでも、自衛隊を撤退させないのはなぜですか。両大臣に、納得のいく説明を求めます。
すでに、イラクに軍隊を派遣している「有志連合」の国々は、次々と軍の撤退を表明しています。スペイン政府は、十九日、千四百名の軍隊の撤退をはじめたと表明しました。ホンジュラスも撤退を表明しました。また、ポーランド、ウクライナ、ポルトガルなど相次いで撤退の声が強まっています。この動きは、米英主導の軍事占領支配の破たんを明らかに示すものではありませんか。外務大臣の見解を求めます。
小泉総理は、この間の国会審議で、事態によっては撤退も考慮すると答弁してきました。今やイラク全土が大規模な戦闘地域になり、サマワでも銃撃戦が発生し、自衛隊撤退を求めるデモまで起こっています。こうした事態は政府が国会で答弁していたことから言っても、自衛隊派兵の論拠はすでに崩れているのではありませんか。明確な答弁を求めます。
私は、ただちにイラクから自衛隊を撤退させ、米英に占領支配をやめさせ、復興支援を国連中心の枠組みに切り替え、イラク国民に主権をもどすことが真の解決であることをつよく申し上げ、質問を終わります。