2004年4月23日(金)「しんぶん赤旗」
「戦争で最初に犠牲になるのは真実」――。自衛隊のイラク派兵や日本人人質事件での政府の対応などをめぐって二十二日、表現活動をするジャーナリストらが「自衛隊のイラク撤退を求め、政府の情報統制に反対する緊急集会」を国会内で開き、戦争に反対するアピールを発表しました。
呼びかけたのは、岡本厚(『世界』編集長)、斎藤貴男(ジャーナリスト)、田島泰彦(上智大学教授)、野中章弘(アジアプレス・インターナショナル)、原寿雄(ジャーナリスト)、明珍美紀(新聞労連委員長)の各氏ら十四人。
集会で野中氏は、「国際紛争で極力、平和的な解決を追求しようとしない政府の責任は重い」と指摘。紛争地取材の経験から、最も援助が必要なところで援助活動をしているのはNGO(非政府組織)だとして、「世界の平和構築にもっとも貢献してきたのは、高遠菜穂子さんら市民の勇気と行動力だ。(政府は)国際貢献とは何かの議論を隠している」とのべました。
ノンフィクション作家の吉岡忍氏は、「事件が明らかにしたのは、政府の行動指針が軍事中心になったことだ」と指摘。「自己責任論」が今回は政府から出てきたとして「国策にメディアをくみこむため、メディアの情報源を、政府に一元化していくことが始まっている」と警鐘を鳴らしました。
岡本氏は「人質が救われたのは彼らの行動と思いがイラクに伝わったから。それは市民が担った」と指摘。「イラク侵略が国際法違反の誤った戦争であることは100%明らかで、現在の戦争もその延長で行われている。(事件の)本質は何か、常に意識、主張しなくてはいけないと思う」とのべました。
原氏は「自衛隊の撤退要求の声をあらためて大きくしよう。大義ない戦争への加担は不正義で、国際法の原則に違反する」とのべました。
ジャーナリストの江川紹子氏は、人質問題での自分の記事や意見にも当初は激しい批判があったが、最近は賛同する方が多くなったとのべ、「一人ひとりが考える機会をどう増やすかが大事な仕事かなと思っている」と話しました。
日本共産党の塩川鉄也衆院議員が集会に参加しあいさつしました。