2004年4月24日(土)「しんぶん赤旗」
【メキシコ市=菅原啓】イラクに派兵してきた諸国が相次いで撤兵を決めるなか、中米で唯一駐留継続を主張しているエルサルバドルで、平和団体や兵士の家族らが撤兵を要求する運動を強めています。
イラク戦争反対を主張してきた平和団体「社会大衆ブロック」は二十二日、首都サンサルバドル市内の米大使館前で、「米国はイラクから出て行け! エルサルバドル軍は帰国させよ!」と書かれた巨大な横断幕を広げ、抗議行動をしました。
エルサルバドルは昨年八月からイラクに三百八十人の部隊を派遣。今月はじめに武装勢力の攻撃を受け、二十七歳の兵士ナティビダド・メンデスさんが死亡しています。
約五十人のデモ参加者は、同国兵士としては初の戦死者となったメンデスさんの死を悼み、白い十字架とひつぎを担ぎ、無謀な占領を続ける米国に抗議しました。
行動を指揮したコルネホ神父は「私たちはだまされてきた。(イラクの)復興のために行くといわれていたのに、到着したら占領軍となっていた」と指摘。エルサルバドル政府もスペインと同様に撤退を決定すべきだと語りました。
イラクに派兵していた中米諸国のうち、ホンジュラスとドミニカ共和国は相次いで撤退を発表していますが、エルサルバドル政府は駐留期限の七月末までは撤退の考えはないと表明しています。
死亡したメンデスさんのめい、メルセデス・ペニャさんは十八日、米紙マイアミ・ヘラルドに対し、「他の国はみんな引き揚げていき、残っているのは彼ら(エルサルバドルの兵士)だけ。彼らはすぐにも帰国すべきです」と語りました。派遣兵士の家族会は二十四日に予定されている軍幹部との懇談会で、正式に撤退を要求する方針を明らかにしています。