2004年4月26日(月)「しんぶん赤旗」
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「平和のためにアートができること」をテーマに「9・11テロ」以降、路上でピース・アンド・アート展などにとりくんできたピース・アンド・アートネットワークは二十五日、東京・原宿の路上で「Here Is There―ここからむこうを感じるための実験パフォーマンス」をしました。
イラクと日本、マスメディアと個人など、それぞれの表現で、「ここ」と「むこう」をつなぐ表現をおこないました。
演劇人の菅野直子さん(28)は、母子、猫、世界の反戦デモ、日米両国の首脳などさまざまな情景の写真を長い布に張り付けた巻物を順々に垂らしていきました。「日常の鮮やかさを映し出すことで戦争によって失われていくことを表現した」といいます。「自衛隊はイラクから即撤退すべき。自分が生きている、このときに、戦後初めて軍隊が外国に出てしまった。自分が加害者になりたくないから、表現者として何かしたい」と参加しました。
イラクの少年の目線でイラクの状況を描いた絵本をつくっている松澤志生美さん(27)=アルバイト=。「人質の三人が解放されてよかったと思いますけど、マスコミのバッシングがひどくて世論がこんなにも流されている。彼らは悪くないし、人間らしい行為をしたのに、口をふさいでいくのはおかしい。パフォーマンスを見てくれた人が自分の頭で考えて、それを表現するきっかけになればいいな」と話しました。
松澤さんの絵本を見て声をかけたアーティストの二十代の男性は「イラクの悲惨さだけでなく、希望があるストーリーがいい。今度、ぼくらのグループとコラボレーション(共同制作)しましょう」とメールアドレスを交換しました。