2004年4月28日(水)「しんぶん赤旗」
“保険料上限は守られたためしはない”“消費税増税は目に見えている”“そこは分かっているがいわないで理屈だけで説明しているわけだ”――政府・与党の年金改悪法案をめぐって自民党内でこんなあけすけな議論が交わされていたことが二十七日までに分かりました。
議論があったのは、亀井静香元政調会長、安倍晋三幹事長らが名前を連ねる自民党の派閥横断の政策グループ日本再生会議の年金問題勉強会。今年二月三日に開かれた席上、厚生労働省の高橋直人年金局総務課長から政府提出の年金法案の説明を受けた質疑のなかでした。
会合の議事録よると、二〇一七年まで国民年金保険料を一万六千九百円、厚生年金保険料を18・3%まで十四年連続で引き上げ、これを保険料の上限とするとの高橋課長の説明にたいして、説得性が欠けるとの発言が相次ぎました。
椎名一保参院議員は「大体、これ以上(保険料は)上がりませんよということで、それが守られたためしというのがありませんので、もう少し理解してもらいやすい言い方というのがあるのかなと思うんですけれど」。
亀井郁夫参院議員も「説明を受けたのですが、だんだんわからなくなった」と、消費税増税含みの財源問題など都合が悪い部分を隠した法案論議にぼやきの声を上げました。
これにたいして中山太郎元外相は「小泉内閣の間は消費税は上げないといっているけれども、そんなことは国民は信用していない。だから、党は(消費税引き上げの)議論をはじめようということになった」。
能勢和子衆院議員が「消費税(増税)を導入しなければどうにもならないことが目に見えています」、仲道俊哉参院議員が「そこを押し切られると国民は不安なんです」と消費税増税のもくろみをひたかくす政府・与党の年金論議が国民の不信を増幅する懸念を示しました。
中山氏は「分かっていることを言わないで、理屈だけずっと説明しているわけです」。これをうけて司会役の古屋圭司衆院議員(党副幹事長)が「確かにそうですね。一番つらい部分なんだけど…(略)。党内でもうちょっと痛い部分についても議論をしていかないと…」と議論を引き取りました。
厚生労働省試算のモデル年金世帯を四十年保険料を掛けた世帯を標準としている点にも「大半は四十年にならない」との注文も出ました。
二十八日にも年金改悪法案の強行採決を構える衛藤晟一衆院厚生労働委員長も日本再生会議の主要メンバーの一人です。