2004年4月29日(木)「しんぶん赤旗」
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保険料を十四年連続で引き上げ、給付水準を自動的に引き下げるという歴史的な大改悪を盛り込んだ年金改悪法案を自民、公明両党が二十八日、衆院厚生労働委員会で、与党単独で強行採決しました。委員会室につめかけた傍聴者からは「老後に一番大切な年金を大改悪する法案なのに、こんなやり方で採決するなんて国民をばかにしている」=病院職員の女性(55)=と怒りの声があがりました。日本共産党、民主党、社民党の国対委員長、厚労委理事・委員は、強行採決後ただちに河野洋平衆院議長に「委員会に審議を差し戻すべきだ」と強く申し入れました。
この日午後の委員会では、二十三日に坂口力厚労相が約束した全閣僚の年金保険料納付状況の公表をめぐり紛糾。坂口厚労相は「各大臣は国会対応が終わればしかるべく対応する」などとのべ、公表を先延ばしする態度をとりました。このため、民主党議員は「このままでは質疑を続けられない」として退席。日本共産党の山口富男議員も「異常な事態になっており、運営のあり方に問題がある」として質問を保留し、「理事会を開くべきだ」と主張しました。
ところが、与党側は理事会協議に応じず、午後四時四十分、質疑を打ち切り、採決強行に踏みきりました。
年金改悪法案については、約三十時間の短い審議のなかでも、国民生活破壊につながる重大な問題が次々と明らかになりました。同日午前の委員会で、日本共産党の山口富男議員は(1)保険料連続引き上げで年金空洞化を招く(2)給付水準一律カットで生存権を侵害する(3)年金財源で消費税増税に道を開く―という三つの大問題を指摘し、国民の前で審議をつくすべきだと主張しました。
国会前には、年金改悪に反対して全労連、中央社保協などと全建総連の人たちが座り込み。強行採決後、衆院議員面会所には労組・民主団体の人たちや傍聴者がつめかけ、自民、公明両党の強行採決に強く抗議。日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が「強行採決に断固抗議したい」とあいさつすると、大きな拍手と「そうだ」の声がわきおこりました。
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