日本共産党

2004年4月29日(木)「しんぶん赤旗」

国民負担増、大改悪に怒り

年金法案採決強行“連続保険料上げ もう限界”

“低い支給さらに減、生活破壊”


 史上最悪の年金改悪法案が衆院厚生労働委員会で強行採決された二十八日。国会周辺は「改悪強行許すな」と全国から駆け付けた人々の怒りの声で包まれました。

 午後四時半すぎ。傍聴席をすし詰め状態に埋めた人々が見つめるなか、自民・公明与党は野党欠席のもとで法案を採決強行しました。東京・国立市年金者組合の宮崎秀男さん(64)は唇をかみしめます。

 同組合では四月に百二十八回の署名・宣伝行動をおこない、市民に改悪反対を訴えてきました。「あんな大改悪法案をたったこれだけの審議で採決してしまうなんて。採決優先姿勢の与党と委員長は許せない。不信任に値するよ」。怒りながら汗を拭きます。

 傍聴席には埼玉・川越市から午前九時に駆け付けた沢野好次さん(69)の姿もありました。午前四時半から「しんぶん赤旗」の早朝配達。「きょう採決ねらう」の記事に居ても立ってもいられない思いで駆け付けました。

 基礎年金の国庫負担を引き上げる財源として今年度から年金課税強化を推し進め、〇七年度をめどに消費税増税を打ち出す政府案。沢野さんは、これまで非課税だった住民税が課税になりそう。介護保険料、国保料の大幅負担増に…。

 「これからどれだけ負担が増えるか、考えてもおそろしいですよ。銀行にはあれだけお金だしてるのに年金には、国庫負担出し渋っておいて、今度は年金額減らした上、課税は強化で、そのうえ消費税まで上げるなんて。年寄りいじめもいいとこ」と怒りを込めて終日、委員会を見守りました。

 午前十時半、全建総連の座り込み行動が、雷鳴とどろくなか、雨をついて始まりました。千葉土建の大塚哲夫さん(60)は妻と一緒に参加しました。

 十六歳から大工として働いてきましたが、最近は不況で月二、三日しか仕事がありません。「とても国民年金保険料なんか払えない」ともう何年も払っていません。「仕事がなく土建の仲間からも自殺者が出ています。こんな大不況のときに、連続十三年も国民年金保険料を上げる改悪を強行するなんて、正気のさたとは思えない。小泉は一体何考えてるのか」。抗議の思いを込めシュプレヒコールのこぶしを握っていました。


年金改悪案 強行採決ドキュメント

 9:00前 衆院厚生労働委員会理事会。与党の採決提案に日本共産党の山口富男議員が「認められない」と反対。年金改悪に反対する全労連、中央社保協の人たちが衆院議員面会所に詰めかけ、約50人が委員会傍聴

 10:30 雷を伴う雨のなか、全建総連が第2議員会館前で座り込みを開始。26県連から275人が参加

 11:08 民主・城島正光厚労委理事が民主党国対委員長室へ入る。「(民主「次の内閣」閣僚年金状況を)1人、社保庁に問い合わせ中だ」

 11:15 日本共産党の大門実紀史参院議員が全建総連の座り込みを激励

 12:07 衆院厚労委で山口議員の質問が始まる。塩川正十郎前財務相の年金問題発言に坂口力厚労相「人それぞれの意見がある」。傍聴者から失笑

 12:15 全労連、国民大運動実行委員会が国会前で集会。熊谷金道全労連議長が「世紀の大改悪だ。強行採決を許さないたたかいを」。日本共産党の紙智子、畑野君枝両参院議員があいさつ

 12:58 衆院厚労委で社民党議員の質問が終了、休憩に

 13:05 民主党代議士会で野田佳彦国対委員長「与党は約束をほごにしようとしており、このままでは審議に入れない」

 13:30 日本共産党代議士会で穀田恵二国対委員長「徹底審議求めたたかう」。小泉純一郎首相が委員会室に入る

 13:43 閣僚の国民年金加入状況資料が提出されないため山口議員や民主理事が衛藤晟一委員長に理事会の開会を求めるが、委員長は拒否

 14:15 全労連や中央社保協の座り込み参加者140人が議員面会所前に移動。院内テレビの委員会中継に見入る

 14:30 民主・古川元久議員の質問始まる。「審議尽くせ」などの紙を握った民主党議員10数人が傍聴

 14:35 小泉首相が閣僚の年金資料について各党間で「協議していただきたい」と答弁。民主党理事らが委員長席に駆け寄って理事会での協議を要求。衛藤委員長は拒否、質問続行を求める

 14:50 坂口厚労相が挙手し自民党委員が拍手。閣僚は各委員会に出席中で、終了後にそれぞれから「しかるべき対応」があると説明

 15:13 山口議員らが委員長に理事会開会を要求し続ける。衛藤委員長、席を立たない古川議員に「質疑を再開しない場合は質疑放棄とみなす」と通告

 15:52 民主・三井弁雄議員が小泉首相と衛藤委員長に対し年金加入状況を質問

 16:10 三井議員、「これ以上質問できない」として席を立つ。野党議員全員が抗議の意を表して退席する

 16:40 衛藤委員長、野党の質問時間を省略して議事を進行。自民党の北川知克議員が質疑打ち切り動議を提出、与党議員単独で採決を強行

 16:55 衆院議員面会所での要請行動で日本共産党の佐々木憲昭議員らが参院での廃案へ決意表明

 17:00 日本共産党と民主、社民の野党三党が不誠実な議事進行と採決強行に抗議し衆院議長に申し入れ

 19:00 与野党国対委員長会談で野党側が審議を委員会に差し戻すべきだと主張


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