2004年4月30日(金)「しんぶん赤旗」
【ロンドン=西尾正哉】英紙タイムズ二十八日付は、イラクで人質となった日本人三人をめぐり「自己責任」を理由に非難する論調があることについて、「故国ではのけ者にされている」と報じました。
同紙は、三人は解放され「日本に帰国してから本当の悩みが始まった。自由になった英雄の帰国からほど遠く、三人は犯罪者が強制送還されたように伏目で空港を通りぬけた」と指摘しました。
しかし、同紙は三人は「典型的な日本人とはまったく異なる」として、バグダッドのストリートチルドレンのためのボランティア活動家やフリーのカメラマンなどと三人の経歴を紹介。とくに今井さんについては「最も注目すべきことに、今井紀明氏は劣化ウラン弾の影響についての調査を計画していた」と好意的に紹介しました。
その上で、「問題の一つは、人質やその家族は誘拐者の要求である自衛隊のイラクからの撤退を要求したこと」と指摘。そのため、自民党の柏村武昭参院議員が三人を「反日的分子」などと非難したことや救出活動の費用負担を求める声が与党議員から上がっていることを紹介しました。
同記事は、「リスクを冒すものがいなければ前進しない。これらの(今井さんら)日本人は、より大きな善のために自らを危険にさらした。日本人は誇りに思うべきだ」とのパウエル米国務長官の言葉を紹介。「これは日本政府からではない。パウエル国務長官のもので、高遠さんらにとっては慰めになっていない」と結びました。