2004年5月1日(土)「しんぶん赤旗」
自衛隊のイラク派兵は憲法に違反するなどとして三十日、近畿地方在住の二十人がイラクへの自衛隊派兵の違憲の確認と差し止め、国に対して一人一万円の慰謝料を求めて大阪地裁に提訴しました。北海道、名古屋、東京に続くものです。
提訴したのは、作家の小田実、評論家の鶴見俊輔、「上方芸能」代表の木津川計、関西大学名誉教授の小山仁示の各氏ら。
原告らは四十代から九十代で、一九四五年三月の大阪大空襲やシベリア抑留など戦争体験を持つ人が大部分。中国残留日本人孤児が国を相手取った集団訴訟や原爆症不認定処分の取り消しを求める集団訴訟の原告らも参加しています。
訴えによると、米英のイラク攻撃とその後の統治は国際法上違法な侵略行為と占領であり、自衛隊派遣はこれに加担し、憲法九条違反だと主張。派遣で、イスラム勢力の対日感情が悪化し、邦人五人が拘束されるなど日本人へのテロ攻撃の可能性が増大しているとしています。
さらに、続発する米軍への襲撃や自衛隊宿営地付近への砲撃などから、イラク全土が交戦状態にあるのは明らかで、非戦闘地域に限って活動を認めたイラク特措法にも反すると主張しています。
一般市民にも呼び掛け、六月上旬にも二次提訴をおこなう計画です。
提訴後記者会見した原告らは「憲法違反ということで裁判をやっても認められない。こんな国は日本だけ。憲法訴訟がちゃんとやれるような国になる必要がある、みんなによびかけてたくさん参加してもらい、当たり前の状態を実現したい」(小田実氏)、「自分と同い年の十三歳の男の子が嫌と言えない雰囲気の中、軍隊へ志願して空爆で死んだ。十三歳なのに戦死となっている。戦争はむごいものだと思う。自衛隊に一日も早く帰ってきてもらいたい」(大阪空襲の語り部として体験を語っている久保三也子さん)などと語りました。