2004年5月4日(火)「しんぶん赤旗」
憲法研究者でつくる全国憲法研究会が三日、東京都新宿区の早稲田大学大隈講堂で憲法記念講演会を開催し、学生や研究者、市民ら約九百人が参加しました。
国際政治学者の田中孝彦・一橋大学大学院教授が「世界平和の作り方―イラク戦争の意味するもの」と題して講演しました。
田中氏は、覇権国が世界を上からおさえつける「垂直的支配秩序」の動きに対し、イラク戦争開戦前の反戦運動のように、米、英、日本などの「危険国家」の横のつながりにチェックを入れる「水平的ネットワーク」が形成されつつあると指摘。この二つの方向のせめぎあいのなかで、水平的な社会をめざす方向が強まっているとき、憲法九条が新たな意義をもつと強調しました。
憲法学者の水島朝穂・早稲田大学教授は「自衛隊イラク派兵・『国民保護』法制と平和憲法の未来」と題して講演しました。
このなかで水島氏は、読売新聞社が三日発表した「憲法改正試案」の内容を紹介。同試案が(1)憲法の権力制限規範の性格を限りなく縮小し「権力に優しい憲法」になっている(2)軍事をすべてに優先させている(3)「自助」努力などを強調して社会と国民のあり方に過剰介入しようとしている、と批判しました。