2004年5月5日(水)「しんぶん赤旗」
今日はこどもの日。子どもの笑顔は、まわりを明るくしてくれます。子どもたちがいつも輝いているようにと願わずにはいられません。
そんな子どもたちの頼もしい味方が「子どもの権利条約」です。あらためて思いを巡らせてみませんか。
楽しそうな親子づれの姿が目立つゴールデンウイーク。条約は、休息や遊びを、子どもの権利としてうたっています(第三一条=休息・余暇、遊び、文化的活動の権利)。
なぜ「権利」か。ここには、休息・余暇の大切さは、教育の大切さとかわることがないという、子ども時代についての深い理解があります。睡眠は子どもの身心を育てる大事な時間です。友人と思いっきり遊ぶことは人間関係の土台をつくります。
ところが、いまの日本は「子どもの仕事は勉強」と、休息、遊びや文化が隅に押しやられていないでしょうか。子どもの成長にとっての本筋の問題として考えたいことです。
条約の重要なとりきめに「子どもの最善の利益」(第三条)という原則があります。子どもにかかわるすべてのことは、子どもにとって何が最善かを考えて決められなくてはならず、国や社会は、それをまもらなくてはなりません。
この点で、日本は大きな問題をかかえています。たとえば今春の東京都の卒業・入学式。「日の丸」をどこに掲揚するか、口をあけて「君が代」を歌うかどうかが、教育委員会の絶対の物差しになり、「子どもにとっていい式を」という教員や父母の願いがふみにじられました。文部科学省が次々に提案する「教育改革」も、政府の都合が先に立ち、子どもの顔が見えません。学校教育にこそ「子どもの最善の利益」が貫かれるべきです。
条約がはじめて規定した権利が「意見表明権」(第一二条)です。
自分のかかわることについて、自分の思ったことや考えたことをどんなかたちでも表明でき、その意見を尊重される権利です。
子どもは、自分の気持ちをうまく言葉にできないことがあります。泣き叫んだり、暗い顔でだまっていたり、「非行」で表すこともあります。その時、どうして子どもがそうしているのかを理解し、一緒に問題を考えてくれる人がいれば、子どもは困難をのりこえていけます。その中で、気持ちを言葉で伝える力もつきます。
私たちは、今日の日本の子どもの危機をのりこえるための重要な方向として、子どもの意見表明権の保障、社会参加の推進を主張します。
国連・子どもの権利委員会は、各国政府が条約を守っているかどうか定期的に調べ、問題があれば勧告します。日本政府には、一月末、「競争的な学校制度の見直し」「意見表明への制限をやめよ」などの厳しい勧告が出されています。
ところが、政府は勧告の公表すらまともにしていません。子どものために力をあわせ、国の姿勢をかえ、勧告実施を前進させようではありませんか。
最後に考えたいのは、世界の子どものことです。いのちをうばわれる恐怖にさらされている子ども、家族や家をうしなった子どもがいます。イラクでは、米軍が子どもを含む住民の無差別殺りくを行っています。
子どもは平和の中でこそ瞳を輝かせます。子どもたちに平和な世界をわたそう――平和憲法をもつ国の国民として、あらためて心に刻みたいと思います。