2004年5月5日(水)「しんぶん赤旗」
「仕事と子育ての両立支援策」として、小泉内閣が三カ年計画で始めた“待機児童ゼロ作戦”は今年度で終了します。ところが、“ゼロ作戦”開始後も待機児童は一向に減らず、調査のたびに入所待ちは増え続けました。
子どもを預けられず仕事に出られない、入所できるのは保育料の高い認可外施設しかなく、給料の大半が保育料にあてられる―などの状況はいっそう広がっています。
小泉内閣がすすめてきた“ゼロ作戦”は、いまある保育所に定員をはるかに超える子どもたちを詰めこむ「定員の弾力化」や、営利企業にも保育所経営を認めるなどの「規制緩和」でした。しかし、保育需要には追いつきませんでした。
このため政府は、“ゼロ作戦”後の新たな対策の一つとして、昨年七月成立の改正児童福祉法で、待機児童が多い市町村に、その解消のための「保育計画」をつくるよう義務づけました。
対象は、四月一日時点で待機児童が五十人以上いる市町村です。保育需要を調査した上で二〇〇四年度中に保育所整備などの計画を策定し、〇五年度から実施します。
厚労省によれば、待機児童が五十人以上の市町村は、昨年四月一日の調査で全国百十九市町村。待機児童の八割はこの地域にいます。「ここに効果的、重点的に対策することで、待機児童の解決にかなりつながる」と厚労省担当者は話します。
問題は、「保育計画」の内容です。認可保育所の整備に限らず、認可外の保育施設や幼稚園の預かり保育などでの対応も、市町村が待機児童の解消に役立つと判断すれば盛り込めることになっています。国は市町村にたいし、「保育計画」策定にあたって、認可保育所の新・増設をすすめるための指導や手だては講じていません。
児童福祉法第二四条には、必要な保育所を整備することは市町村の責任として明記されています。厚労省担当者も、待機児童を抜本的に解消するためには「施設の増設が必要」といいます。法の趣旨からいっても、待機児童の解消は国と地方の責任で、認可保育所を増やすことを基本としなければなりません。
“補助金一兆円削減”の一環として公立保育所の運営費国庫負担金を一般財源化(〇四年度)するなどの改悪はやめるべきです。
江刺尚子記者