日本共産党

2004年5月5日(水)「しんぶん赤旗」

子どもの権利条約

いっしょに考えよう

みんなの意見も大事だよ


 きょうはこどもの日。だからこの記事はみんなに読んでもらいたいんだ。一九八九年に国連が決めた「子どもの権利条約」って知ってる? この条約を日本が守ると約束してから今年で十年。条約にもとづいて子どもの権利を守ろう、子どもの声をいかそうというとりくみが、いろんな地域や学校で生まれています。どんな条約かって? 子どもにも、おとなにも大切なことがいっぱいつまってるんだ。ほんとうはむずかしいことばで書いてあるんだけど、いくつかを説明してみるね。

 本吉真希記者

 高間史人記者


条約の中身は…

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え 富樫 智子

 第二条 差別はいけない

 クラスでいじめたり、いじめられたりしたことない? 考え方が違っても、勉強ができてもできなくても、心や体に障害があってもみーんな平等だよ。みんなが自分らしくいられるように、すべての子どもがこの条約の権利を使えるんだよ

 第三条 子どもにとっていちばんいいこと

 おとなは子どもにとって何がいちばんいいのかを、第一に考えないといけないんだよ

 第六条 生きる権利・育つ権利

 子どもはみんな、生きる権利をもっているの。国は子どもがもっているいろんな力を限りなくのばすために、できることは何でもしなければいけないんだ

 第一二条 意見を表す権利

 何かいっても「まだ子どもなんだから」なんていわれたことない? 子どもは自分の意見を自由にいうことができるし、その意見は大切にされないといけないんだ。でもやっぱりいえないことはあるよね。そんなとき子どもの声をちゃんと聞いて、答えてくれるのがおとなの役目なんだよ

 第三一条 休み、遊ぶ権利

 子どもがのびのび育つには、たっぷり遊んで、のんびり休む。塾や習い事ばかりじゃなくて、本を読んだり、お絵かきをしたり、文化や芸術を楽しむことも大事だよ

 第三八条 戦争から守る

 いまイラクでたくさんの子どもが死んでしまってるの。本当はどんなことがあっても子どもは戦争から守られなければいけないんだ。十五歳にならない子どもを兵士にしてはいけないって約束もしてるんだよ。それなのにどうしておとなは戦争するんだろうね


高校生も国連へ

 子どもの権利条約は百九十二カ国が批准・加入。国連加盟国のうちアメリカとソマリアだけがまだ批准していません。

 条約の第四三条にもとづき国連に「子どもの権利委員会」が設置されています。締約国は条約の実施状況を五年ごとに同委員会に報告する義務があります。委員会はその報告について、非政府組織(NGO)などの意見も受けながら審査。改善が必要な点を勧告します。

 一九九四年に批准した日本政府は九六年に一回目の報告を提出。同委員会は審査のすえ「高度に競争的な教育制度」の改革などを勧告しました。

 二〇〇一年に提出した二回目の報告についての審査は今年一月にありました。審査に向けて「第二回市民・NGO(非政府組織)報告書をつくる会」などが報告書を提出。高校生もスイスのジュネーブに行って子どもの意見を発表しました。

国連の日本政府への勧告

 国連の「子どもの権利委員会」は今年1月に「日本の子どもの権利のためにこうしてください」という意見を出したんだ。いくつか紹介するね。

 ―子どもの権利条約のことを、おとなにも子どもにも、もっときちんと知らせてください。

 ―子どもの政治的活動が制限されたり、持ち物検査でプライバシーがおかされたり、体罰があったりするのは問題です。

 ―教育のしくみが子どもを競争に追いたてるものになっていて、体や心に悪い影響を与えていることが心配です。

 ―子どもの意見を大切にして、学校とかでこれから何をするか決める会議には子どもが参加できるようにしてください。



ありのまま認める人間関係

福田雅章DCI日本支部代表

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 子どもは中世、親の所有物として扱われました。そしておとなの起こした戦争でたくさんの犠牲に遭ってきました。子どもたちが一人の人間として尊重され、平和な社会と民主的な国をつくるには、子ども自身に権利が必要だと考えられるようになりました。そして一九八九年十一月二十日、国連で「子どもの権利条約」が決められました。

 条約でいちばん大切なものは第一二条の意見表明権です。それは子どもが自分の欲求を「ねえねえ」と表に出す権利です。おとなは子どもに「なーに」と顔を向けてこたえなければいけません。

 子どもが自分の欲求を自由に安心して出せるには、ありのままの自分を「そのままでいいんだよ」と認めてもらえる人間関係が必要です。そういう人間関係があってこそ子どもは成長発達し、自分らしく生きることができるのです。

 いまの日本では経済発展のもと、子どもの成長発達に不可欠な人間関係がつぶされています。「子どもの権利条約」はそれを取り戻すために、強力な味方として子ども自身に力を与えたのです。

 子どもたちには、あなたの中にはすばらしいものが隠れていて、きっとそれを引き出してくれるおとなに出会えるよ。だから独りで悩んで自分や人を傷つけたりなんかしちゃいけないよ。今はできなくても心配はいらない。そのまんまであなたは生きていく価値があるんだよと伝えたいです。


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