2004年5月7日(金)「しんぶん赤旗」
政府案は、国会の審議なしで自動的に厚生年金保険料を十四年連続、国民年金保険料は十三年連続で引き上げるため、国民生活を圧迫し、年金制度の空洞化にさらに拍車をかけるものです。
月額二―三万円の低年金者も含め、給付水準を一律15%カットすることで、憲法で保障された生存権を侵害することになりかねません。
しかし、自民、民主、公明の「三党合意」は、こうした政府案の問題点を何ら是正するものとはなっていません。
とりわけ重大なのは、「年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的見直し」を三年後の二〇〇七年三月を目途に結論を得るとしていることです。合意した「修正」案では「社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直し」を政府に求めています。年金、介護、医療など社会保障の名で消費税増税へのレールを敷くという重大な危険性をはらんでいます。
実際、政府・与党は、〇七年度を目途に「消費税を含む抜本的税制改革を実現する」として、年金の財源などに消費税増税を充てることで合意しています。民主党の年金法案も「年金財源」に消費税の3%引き上げを盛り込んでいます。
「三党合意」は、全政党参加の協議という手続きも経ずに出てきた代物です。
政府案の問題が噴出するもとで、委員会での徹底審議の保障こそ必要ですが、「三党合意」はこれに何ら答えていません。民主党は自ら求めていた公聴会開催も三党協議では要求しませんでした。こうしたものを十一日の衆院通過で合意したことは極めて重大です。
(高柳幸雄記者)