日本共産党

2004年5月8日(土)「しんぶん赤旗」

来秋オープンの昭和天皇記念館

「聖徳伝えることが責務」

侵略美化の施設になる危険

東京・昭和記念公園


 東京都立川市と昭島市にまたがる国営昭和記念公園。毎年二百万人以上が訪れる市民の憩いの場です。その一角で建設中なのが「昭和天皇記念館(仮称)」。昭和天皇がすすめた侵略戦争や暗黒政治を覆い隠し、美化する施設となる危険があります。


写真
昭和天皇記念館を含むセンター施設の工事現場=東京・立川市

 昭和記念公園の「緑の文化施設ゾーン」(十二・七ヘクタール)の南側七・五ヘクタールは二〇〇五年秋の開園をめざしています。昭和天皇記念館は、そこに建てられる「センター施設」の一部となります。

 延べ床面積は八百三十平方メートル。同記念公園を管轄する国土交通省によると、展示内容は「緑を愛された昭和天皇のお姿(植物に関するご研究成果・国営昭和記念公園第一期開園式典について等)」「昭和天皇、香淳皇后の御遺品等」とされています。

展示協力の財団は

 昭和天皇といえば、二千万人以上のアジアの人々と三百十万人以上の日本国民が犠牲となった侵略戦争の最高責任者です。国内では治安維持法を公布・改悪して国民弾圧を強化。多くの国民が命を奪われました。

 ところが、館内の展示に協力する公益法人「昭和聖徳記念財団」(一九九一年設立)は、「昭和天皇のご聖徳を顕彰し、後世に伝えるため、記念館の設置運営を行う」(財団文書)ことを目的に掲げています。

 財団のホームページによると役員は二十六人。会長の桜内義雄・元衆議院議長(故人)、副会長兼理事長の藤村正哉・三菱マテリアル相談役をはじめ、綿貫民輔・前衆院議長、工藤伊豆・宗教法人神社本庁総長などの名がみえます。

 財団の設立趣旨では、昭和天皇を「国民と苦楽を共にされ」「国民の幸せを願われ日夜お心を砕かれた」人物と描いています。昭和天皇の「終戦のご聖断によってわが国は辛うじて破局を免れることができた」などとし、「昭和天皇の大御心が民心の安定と活力の源」とほめたたえ、その「聖徳」を伝えることが「責務」だと述べています。

 財団の展示事業が昭和天皇への賛美・礼賛につながる危険があります。

 国の関与の問題もあります。財団の主務官庁である文部科学省は、財団の収支予算などの提出を受け、財団の「公益」性に責任を負っています。国営公園を管理する国土交通省(主な管理運営業務は公園緑地管理財団に委託)も、その施設の展示内容などに無関係ではいられません。

募金集めに抗議も

 記念館計画が〇二年四月に発表されると、その年の末、地元の立川市で自治会連合会を通じ回覧形式で募金を集める動きがありました。

 住民からは思想・信条の自由を侵すと抗議の声があがりました。日本共産党立川市議団も、市の補助金団体である同連合会の運動を黙認すべきでないと立川市長に申し入れ、〇三年六月の市議会でもとりあげました。


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