2004年5月9日(日)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】ラムズフェルド米国防長官は七日、上下両院軍事委員会の公聴会に出席し、イラク・アブグレイブ収容所での米兵によるイラク人拷問・虐待事件で証言しました。長官は被害者に「深くおわびする」としつつ、民主党などから出ている辞任要求は拒絶。しかし、拷問・虐待が組織的に行われたのか、ブッシュ大統領がどう対処したかなどの核心は解明されませんでした。
同長官は、米兵による収容者への暴行、拷問、虐待について「私の前で起きた出来事について私は全責任を負う」と発言。米軍として被害者に補償する考えを明らかにしました。
同長官は、今年一月に事件の報告を受けたのに詳細を大統領や議会に伝えなかったことも謝罪。一方、事件が伝わった一月に犯罪捜査を開始していたなどとし、国防総省の対応に重大な誤りがなかったと強調しました。
元政府関係者による特別調査委員会を立ちあげ、四十五日以内に調査報告を提出させることも明らかにしました。
民主党のケネディ上院議員は「(戦争捕虜の処遇を定めた)ジュネーブ条約軽視だ」と長官を非難。公聴会後、同長官の辞任を求めました。共和党のマケイン上院議員は、米軍情報部が組織的に関与していた疑惑を追及しました。