2004年5月9日(日)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】米国のブッシュ大統領とラムズフェルド国防長官が相次ぎ、米軍による拘束イラク人拷問・虐待を「謝罪」したことについて、アラブでは真意を疑問視するとともに、これを非難する世論が高まっています。
カイロ大学政治学科のムスタファ・オルウィー教授は「謝罪はまったく不十分で、イラク人にたいする拷問・虐待がアラブとイスラム教徒の心に生じさせたものを消し去ることはできない。虐待の罪の大きさは『謝罪』をはるかに超える。アラブ・イスラム諸国は、虐待が米政権によるイスラムとアラブへの軽べつから引き起こされたのだということを理解している」と批判しました。
汎アラブ紙アルハヤト八日付は、「ブッシュ大統領の『謝罪』は、彼がその直後にラムズフェルド長官を職にとどめると表明したことで無効となった」「虐待をおこなった兵士は命令に従ったのであり、責任をとるのは上司であり、大統領だ。問題なのは、ラムズフェルド長官がなぜ写真が公表されるまで事実を隠していたのかということである」と強調しました。
エジプトの日刊紙アルワフド八日付は「もし米国テレビが虐待写真を公表していなければ、いまも虐待は日常のように行われていただろうし、ブッシュ政権は『謝罪』などしていなかったであろう」「われわれはブッシュ大統領に謝罪を要求しない。求めるのは彼の辞任である」と厳しく非難しました。