2004年5月10日(月)「しんぶん赤旗」
会期末(六月十六日)まで約一カ月となった国会は、年金改悪法案の衆院通過をめぐって大きなヤマ場を迎えます。
六日に政府案「修正」で合意した自民、公明、民主の三党は、十一日の衆院本会議で採決し、十二日にも参院本会議で審議入りさせる構えです。
しかし、年金問題をめぐり波乱ぶくみの政局となっています。波乱要因の一つは、「三党合意」そのものにあります。日本共産党は「国民生活にかかわる重大問題を三党だけで決め、十一日に衆院本会議を通過させるという出口までも国会に押しつけることは認められない」(市田忠義書記局長)と強く反対しました。当事者の民主党内からも厳しい批判や異論が相次いでいます。
民主党の菅直人代表の年金保険料未納問題にたいする批判も加わって常任幹事会や「次の内閣」で了承が得られず、結論は週明けに持ち越される事態となっています。
波乱要因のもうひとつは、年金保険料の未納問題です。
この問題では、福田康夫官房長官が辞任に追い込まれましたが、他の閣僚は居座ったままです。自民党は所属議員の納付状況の公表をかたくなに拒んでいます。このため「三党合意」でも納入状況の公表措置にはいっさいふれないままです。
年金不信を増大させた問題でまともな対応もしないまま、国民に犠牲を強いる年金改悪法案をごり押ししようとするやり方に国民世論の反発が高まるのは必至です。
年金問題で民主党を自らの土俵に取り込めたと評価する与党側は、「残った法案についても早めに参議院に送付する」(自民党・中川秀直国対委員長)として、会期末をにらんで審議促進をはかろうとしています。
なかでも、米軍の戦争に自衛隊と自治体、国民を駆り出す有事関連法案は、年金改悪法案、道路公団民営化法案とならぶ重要法案として衆院有事特別委員会での審議をすすめて中旬にも衆院を通過させたい考えです。十日には有事特別委員会が開かれ質疑がおこなわれることになっています。
また衆院憲法調査会の中央公聴会が十二、十三の両日開かれ、公募を含む九人の公述人の意見陳述と質疑が行われます。