日本共産党

2004年5月10日(月)「しんぶん赤旗」

有事関連法案 危険な本質浮き彫り


 与党が今週にも衆院通過を狙う有事関連七法案・三条約案―。これまでの審議でも、米国の戦争に自衛隊をはじめ日本国民、自治体を総動員するという危険な本質が浮き彫りになっています。

▼米軍行動円滑化法案

米軍への支援は無限定

 「米軍行動円滑化法案」は、日本が武力攻撃を受けていない段階(武力攻撃予測事態)から、米軍の軍事行動を円滑かつ効果的にするための措置(行動関連措置)=米軍支援の実施を「政府の責務」とするものです。

 日本共産党の赤嶺政賢議員の質問に対し、井上喜一有事法制担当相は「行動関連措置」について防衛庁・自衛隊が物品・役務を提供するほか、他省庁も支援を実施することを明らかにしました。

 法案が定める地方自治体や事業者の「行動関連措置」への協力は、土地や施設、物品の提供のほか「その他の措置もあり得る」と答弁。事業者の範囲も「制限がない」とのべるなど、米軍支援が無限定にどこまでも広がる危険があることが明らかになりました。

▼ACSA改定案

「周辺事態」で弾薬提供も

 日米物品役務提供協定(ACSA)改定案は、現在は共同演習などに限定している適用対象を「有事」にも広げるものです。これまで政府自身が“憲法上の検討を要する”として実施しないとしてきた米軍が海外で武力行使をおこなっている「周辺事態」での弾薬提供も可能になることが分かりました。

 政府は「武力攻撃予測事態」と「周辺事態」とが併存することがありうると認めています。改定案では「武力攻撃予測事態」から弾薬提供が可能です。併存の場合、米軍は「予測事態」だとして日本から提供を受けた弾薬を「周辺事態」のために使用できるようになります。

 赤嶺議員の追及に政府は、改定案で“日本への武力攻撃を排除するために必要な行動に使われる”としているから「(それ以外に)使用することはない」(海老原紳外務省北米局長)と強弁するだけ。それを担保する具体的な保証がどこにあるのかを示すことができませんでした。

▼特定公共施設利用法案

軍事優先確保が狙い

 「有事」に際し港湾や飛行場などの「優先的な利用」を確保するための「特定公共施設利用法案」は、米軍や自衛隊による軍事優先使用という狙いがはっきりしました。

 例えば、法案は、第一種、第二種、第三種の各空港と自衛隊の飛行場のすべてを「優先的な利用」の対象としています。

 赤嶺議員の質問に、政府は「限られた資源なので幅広く対象とした」(増田好平内閣審議官)と答弁。地元などと軍事利用はしないと取り決めている成田空港(千葉県)や下地島空港(沖縄県)についても「その(軍事利用はしないという)経緯があるから、この空港を使えないということはどうなのか」(同)と、軍事利用もあり得るとの考えを示しました。

▼国民保護法案

非現実的な「住民の避難」

 「国民保護法案」では、法案が規定する「住民の避難」の非現実性が明らかになりました。

 「住民の避難」をめぐっては、政府が「武力攻撃」として四つの類型((1)弾道ミサイル攻撃(2)ゲリラや特殊部隊による攻撃(3)地上部隊による上陸攻撃(4)航空機による攻撃)を示しています。いずれも事前には予測できないものだったり、政府の担当者自身が「現実にはほとんどあり得ない」と認めているものです。

 日本共産党の吉井英勝議員は、鳥取県の「住民避難シミュレーション」で、同県東部の住民二万六千人がバスで兵庫県に避難するのに十一日間を要するとされたことも紹介し、「住民の避難」は現実には不可能だと追及。井上担当相は「(各自治体が)よく検討し、合理的、迅速に避難できる方法を検討してほしい」とのべるだけでした。


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