2004年5月10日(月)「しんぶん赤旗」
イラクのアブグレイブ収容所などで米軍が拘束中のイラク人にたいして虐待や拷問を行っていた問題で、米政府当局は、公表された写真に写っている女性兵士二人を起訴しました。
しかし、起訴された兵士や家族は、軍情報部や米中央情報局(CIA)幹部や民間契約の警備会社要員の指示に従った、と改めて主張しています。本人たちの責任が問われる一方で、蛮行が個人的な行動などではなく、米軍の組織的犯罪であることがいっそう具体的に明らかになってきています。
八日付のワシントン・ポスト紙は、このうちの一人、サブリーナ・ハーマン技術兵(26)のインタビュー記事を掲載。そのなかで、同技術兵は、「(私たちの)仕事は、彼らを眠らせず、地獄を味わわせて、口を割らせることだった」「軍情報将校に指示されてやった。(収容所は)地獄だった」と述べています。
ハーマン技術兵は、裸のイラク人を重ねて「人間ピラミッド」をつくらせ、その背後で男性兵士とともに笑っている姿が写されている女性兵士。自慰行為をさせてビデオに撮った、電気ショックにかけるといって脅した―などの理由で起訴されました。
同技術兵は、収容者が尋問などに非協力的な場合には衣類や布団をはぎとり虐待した、尋問の規則などはなく、すべて情報将校が勝手にやっていたなどと語っています。
同技術兵は、二〇〇一年の9・11同時テロ後に予備役として登録。その後、昨年二月にイラク戦争のために招集され、二カ月の訓練を受けたのちに憲兵隊の配属となったが、「捕虜」に対する扱いなどについての説明は受けず、ジュネーブ条約についても何の知識も与えられないままにアブグレイブに勤務していたといいます。
アブグレイブ収容所では、軍情報部やCIAの幹部、それに民間警備会社の要員がすべてを仕切っていたと語っています。
また、床に転がされた男性の首にひもをつないで引いたり、くわえたばこ姿で裸の男性の身体を指さして笑っている写真の女性兵士、リンディ・イングランド上等兵(21)は七日、暴行や共謀容疑で起訴されました。
これに対して、同上等兵の家族や友人は、七日に記者会見をおこない、「彼女は命令に従っただけだ」「スケープゴート(いけにえ)にされた」と主張。母親は「娘は自供を得るために何でもするように命じられたといっていた」と語っています。