日本共産党

2004年5月11日(火)「しんぶん赤旗」

検問所通った夫は警告なく殺された

NY「イラク国際法廷」

市民が米軍の違法を告発


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8日、国際法廷で声明を読み上げる陪審員代表

 世界各国の五十以上の民間団体が八日にニューヨーク市内で開いた民衆による「イラク国際法廷」では、大量破壊兵器の除去を口実にフセイン政権転覆をめざして米国が始めたイラク侵攻と占領が、国際法・条約に明らかに違反していると告発する発言が相次ぎました。

非道ぶり証言

 十時間にも及んだ「法廷」では、約十人の法律家と証人が発言。国際的な人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」のサラ・レア・ホイットソン中東担当責任者は、昨年三月二十日から四月下旬までの大規模戦闘で、民間人を含め一万―一万五千人のイラク国民が死亡し、(1)住宅地での戦闘(2)民間人への攻撃(3)戦争捕虜に対する虐待(4)クラスター(集束)爆弾の使用―が報告されたと述べました。

 ニューヨークを拠点に活動する弁護士のアスリ・バーリさんは、検問所を通過する市民を警告なしに射殺する米兵の非道ぶりを、実際に夫を目の前で殺されたイラク人女性の証言をもとに紹介。同じくニューヨーク在住のイラク系米国人の弁護士、ジェニファー・リダさんは、焼夷(しょうい)弾で全身を焼かれながら医療品の不足でまともな治療が受けられない十歳の少年の写真を提示。

 これら三人は口をそろえて、米軍の行為は人道に関する国際法とジュネーブ条約の明確な違反だと主張しました。

 米兵によるイラク人収容者の拷問問題に関し、「経済・社会的権利センター」のロジャー・ノーマンド所長は、「収容されている六割は罪もない民間人。米兵は、女性や子どもまでも連行し、レイプや暴行を働いている。ラムズフェルド米国防長官は、これは拷問ではないと言っているが、拷問以外のなにものでもない」と非難。

救急車に発砲

 ドキュメンタリー映画制作者で昨年末と今年四月にイラクを訪れたデービッド・マルチネス氏は証人として出廷、「昨年の訪問時と現在ではイラク国民の対米感情は劇的に変わった。独裁者フセインがいなくなったことで我慢していた人々が、一刻も早く米軍に出て行ってほしいといっている。ファルージャなどで続く四月以来の暴力は、米軍がつくりだしたものだ」と発言しました。

 ベルギー人医師で医療援助のためイラクに入ったジアート・バンムーター氏は「イラク侵攻から一年以上たつのに、医薬品の不足が経済制裁時と変わらない」と述べ、米軍が来ても状況は全く改善されていないと発言。

 同氏はまた、「米軍は私の乗っていた救急車に向けて発砲をし、弾が当たったけが人は私の目の前で死んでいった。人間の生きる権利を守るため、米軍はイラクからすぐに出て行かなければならない」と訴えました。

 陪審員からは「米軍は軍隊テロリスト」「これは人種差別に基づく戦争だ」「占領の即刻終結を」などの発言が出されました。

 (ニューヨーク=遠藤誠二 写真も)


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