2004年5月11日(火)「しんぶん赤旗」
【ロンドン=西尾正哉】英紙メール・オン・サンデー九日付が掲載した世論調査によると、英米軍によるイラク人拷問・虐待が明らかになる中で、イラク戦争を支持する英国民の割合がこれまでで最も低くなったことが明らかになりました。
同紙によると、“イラク戦争は正しかった”と考えているのは、十人中四人にすぎず、これまでで最低となりました。昨年四月時点では支持していたのは十人中六人でした。
また選挙での支持政党は、ブレア首相が労働党の指導者の場合は労働党に投票するのは36%なのに対し、野党第一党の保守党支持は40%となり逆転しました。ただ、労働党指導者がゴードン・ブラウン現財務相になった場合は、39%の人が労働党に投票すると回答。ブレア首相への批判が浮き彫りになりました。
ブレア首相の辞任を求める声は労働党内から公然と上がっています。
『キリング・フィールド』などの映画制作で知られ、ブレア首相の個人的な友人でもあるデービッド・パットナム上院議員は英民放ITVで、「首相はイラクと同義語になっている。イラクは悪いニュースしかもたらさない」と指摘。「もし私が首相なら、国会が夏季休会から再開する前に辞任するであろう」とのべ、早期の辞任を求めました。
パットナム上院議員はイラクの状況が労働党政府の業績に影を落としていると感じる労働党議員が増えており、首相はこれらの議員から強い圧力を受けるであろうとの見通しを語りました。
ロビン・クック前外相も、ブレア首相は「イラクでの主要な間違い」のせいで国内問題に焦点をあてるのに極めて大きな困難を抱えているとし、「彼が任務を遂行できるか、ほかの人が行うべきかを自身に問うときが来るであろう」とのべ、辞任問題がさけられないとの考えを明らかにしました。