2004年5月12日(水)「しんぶん赤旗」
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十一日の国民大運動実行委員会などの国会要請行動で、日本共産党の志位和夫委員長がおこなったあいさつ(大要)は次のとおりです。
みなさん、ごくろうさまです。いま衆議院の本会議で、年金大改悪の法案の採決が強行されました。私は、まずみなさんとともに怒りをこめて抗議の声をあげたいと思います。(拍手)
みなさん、年金改悪法案の正体は、みじかい衆議院の審議をつうじても明りょうになりました。政府が当初説明していた内容よりも、もっとひどいものであったということがはっきりしてきたというのが、いまの到達点であります。
政府は、国民のみなさんに負担増を押しつけ、給付を減らす大改悪の法案を強行するさいに、その害悪を少しでも小さく見せかけようと、「二つのごまかし」をやってきました。しかし、衆議院での審議の最後の段階で、政府自身が出してきた試算で、その「ごまかし」が明らかになったのです。
まず第一に、年金の保険料の連続値上げの問題です。国民年金は十三年連続の値上げ、厚生年金は十四年連続の値上げということが、今度の法案に明記されております。この説明をするときに政府はこういいました。「国民年金は、いま月額一万三千三百円ですが、これを毎年上げさせていただいて、十三年後に一万六千九百円にして、そこで固定する」
しかし実は、これは賃金が、この十三年間でまったく上がらなかった場合のことなのです。そんなことは考えられないことです。それでは賃金が上がる場合はどうなるか。その試算を厚生労働省は、最近になって出してきました。それによりますと、一万三千三百円から、十三年間の連続値上げでどこまでいくかというと、二万八百六十円まで値上げがされる。これが十三年後であります。
しかもそこで「固定」じゃありません。その先も賃金が上がればどんどん上がっていく。これが値上げの正体なのです。「一万六千九百円におさえて固定する」というのはごまかしの説明だったということはいまや明らかとなりました。(「そうだ」の声、拍手)
いま、高すぎて保険料が払えない。そこで国民年金をみても未納や未加入や免除の方が、あわせて一千万人ですよ。年金制度の空洞化がおこっている。そのときに、こんな途方もない値上げを国民に押しつけたら、年金制度の「安心」どころか、土台から制度を掘り崩すことになることは明りょうです。断じて許せないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
第二に、それでは給付はどうなるのか。政府は、給付の削減について、こういっていました。「モデル世帯」―夫が会社員で四十年間厚生年金に加入、妻が専業主婦―こういう「モデル世帯」の場合、「年金給付の水準は、現役世代の収入の59%から50%まで下がるけれども、50%は保障します」、「50%はお約束します」。さんざんいいました。「モデル世帯」というのは全体からみればごく一部でしかありません。政府が「50%は保障」といっているのは、「ごく一握り」の人だといって、私たちは批判しました。
しかし問題はそれだけではありませんでした。これも、最近、厚生労働省が出してきた試算をみますと、「50%は保障する」といっても、たとえば二〇二三年以降に年金を受け取る現在四十六歳以下の場合、たった一年のことなんです。その次の年は40%台に割り込む。毎年毎年減らされて、最後は40%にまで落ち込むんです。つまりこの場合は、「50%を保障する」というのは、「ごく一握り」の人の「たった一年」のことだったのです。(驚きの声)
こんなごまかしで、国民を欺いて、法案の強行をやったというのは許せないことではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
これが今度の法案の正体です。給付の削減の問題について言いますと、とくに九百万人の国民年金だけの受給者の方は、大変なことになる。私も党首討論で取り上げましたが、平均月額で四万六千円の年金がさらに削られてしまうことになったら、生きていけないことになる。憲法で保障した生存権を破壊することになる。
みなさん、この法案は絶対に許すわけにはいかない。政府が当初説明してきた内容よりも、もっとひどいものだった。「二つのごまかし」がはっきりしました。「保険料は上げるが(国民年金の場合)一万六千九百円でおさえて固定する」というごまかし。それから、「(給付水準は)50%を保障する」というごまかしです。こういうごまかしが、衆院の審議の最後の段階で明らかになったのです。しかしドタバタのなかで審議が十分されないなかできょう採決になった。
しかし参議院のたたかいがあります。参議院の論戦のなかで徹底的に問題点を究明し、廃案をかちとるために、みなさんと力を合わせて頑張りぬきたい。このことをお約束するものです。(拍手)
みなさん、どうしてこんなひどい法案が通ったのか。「三党合意」です。自民、公明、民主が結んだ「合意」で、きょうの本会議が強行されたわけであります。民主党は「政府案に反対した」という言い訳をしているけれども、しかし採決の日程を合意したのです。「きょう採決する」という合意が「三党合意」なんです。民主党がどんな言い訳をしようと、政府案強行に手を貸した、この責任は免れないのではないでしょうか。(拍手)
そして、「三党合意」の中身で何が書いてあるか。要はこういうことを書いてあります。「社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含めて、一体的な見直し」をやると書いてある。だいたいこういう文句があるときは消費税増税を言っているのと同じなんですね。与党側は二〇〇七年度から消費税増税をすすめることが方針です。民主党も二〇〇七年度から増税をいっている。消費税の増税に道を開く合意が「三党合意」の正体であります。
みなさん、こういう「合意」を与党と結んで、これだけの重大法案を国民のみなさんの前でまともに審議することもなく通した民主党の責任―これはきわめて重いものがあるのではないでしょうか。(拍手)
日本共産党は、国民のみなさんすべてに月額五万円を給付する「最低保障年金制度」をつくろう。その土台のうえに安心できる、しっかりした年金制度を築こうという提案をしております。財源について言うと、無駄遣いを削る、大企業に応分の負担を求める。そういう財源対策をしっかり示しております。
みなさんとご一緒に、「最低保障年金制度」を実現する旗印を大きく掲げながら、参議院のたたかいでこの大改悪の法案を廃案に追い込むために、引き続き力をつくして頑張りぬきたいと思いますので、どうかみなさんのご支援をよろしくお願いいたします。(大きな拍手)