日本共産党

2004年5月12日(水)「しんぶん赤旗」

保守派もブッシュ政権批判

大統領支持率最低に

イラク人拷問・虐待で急降下

両院が虐待非難決議


 【ワシントン=遠藤誠二】イラクでの米兵による収容者虐待・拷問事件をめぐり、ブッシュ米大統領は十日、あらためてラムズフェルド国防長官を擁護しました。しかし、米国内では同長官やマイヤーズ統合参謀本部議長の責任を問う意見が相次ぎ、同大統領を支持してきた保守派からも批判が出始めています。

 十日発表のCNNテレビとUSAトゥデー紙による共同世論調査では、ブッシュ大統領の支持率が46%と、今年一月時に比べ14ポイント減り、過去最低となりました。

 ブッシュ大統領は十日、国防総省内で国家安全保障担当者と会議を開催。会議後、チェイニー副大統領、パウエル国務長官、ラムズフェルド国防長官らを従え報道陣の前で、国防長官に対し「あなたの指導力に感謝している、すばらしい仕事をしている強い国防長官だ」と称賛、同長官への辞任要求を拒否しました。

 しかし同大統領がいくらかばっても、国防総省と米軍の最高責任者を追及する声はやみません。 米上院は十日、イラク人虐待を非難する決議を全会一致で採択しました。六日には、下院で同様な決議が賛成多数で採択されています。議会での公聴会は続き、虐待・拷問写真も引き続き公開される可能性があります。

 民主党はもとより、共和党議員も国防総省の対応に疑問を投げかけています。同党のヘーゲル上院議員は、「われわれはすべての事実を知らされてはいない。今後数週間のうちに、大統領は困難な選択を迫られるだろう。率直に言ってラムズフェルド長官とマイヤーズ氏は、米国民と軍からの信用を得ているかどうか疑問である」(CBSテレビとのインタビューで)と述べ、辞任の選択肢もありうることを示唆しました。

 米軍系の週刊紙アーミー・タイムズ(十七日号電子版)は、「最高レベルでの指導(者)の怠慢」の見出しで社説を掲載。「一部隊の司令官レベルの失態ではない。トップに直接いく問題だ」「国防長官、統合参謀本部議長も恥を知るべきだ」と痛烈に批判しています。

 ワシントン・ポスト紙十日付は、イラク侵攻を強力に推進したネオコン(新保守主義派)の論客であるロバート・ケーガン氏のコメントを引用し、政権は保守派からの突き上げにあっていると報じました。

 ケーガン氏はこのなかで、「妄信的な支持者以外、ブッシュ政権がイラクで明日何を行うかまるで分からないということをだれでもがみな認識している」と述べています。


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