2004年5月12日(水)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】アラブ世界では、ブッシュ米大統領とラムズフェルド国防長官によるイラク人拷問・虐待への「謝罪」表明に対し、怒りが収まるどころかいっそう激しくなっています。批判の矛先は蛮行の根源にある無法な戦争と占領に向かっています。
エジプトの有力政治週刊誌『オクトーバー』のラガブ・アル・バンナ編集長は「国際法と人権を踏みにじる米軍の戦争犯罪はアラブ人の心に癒やし難い記憶を植えつけた。いかなる『謝罪』キャンペーンも、米政権要人のアラブ訪問も、この怒りを鎮めるのは不可能だ」と指摘しています。
さらに、「米軍がイラクから撤退しないなら、米政権の想像を超える反撃が起こるだろう。テロは米軍がつくりだしている」と警告しています。
エジプトの日刊紙アルワフド十日付は、「米軍は四月以降、千人以上のイラク人を殺害した。米政権の『謝罪』や被害者への『賠償』で戦争犯罪を覆い隠すことはできない。唯一の解決は、占領を直ちにやめ、イラク人すべてに謝罪することである」と強調しました。
アラブ首長国連邦のアルカリージ紙九日付は「拷問、そして拷問」と題する論評記事を掲載。「米政権による『謝罪』は受け入れられない。アブグレイブ収容所での拷問が唯一ではない。イラク戦争と占領、米政権のイスラエル支持、それらすべてがアラブ人に対する米国の拷問なのだ」と指摘しています。