2004年5月13日(木)「しんぶん赤旗」
衆院憲法調査会は十二日、設置後初の中央公聴会を開き、六人の専門家の意見を聴取しました。このなかで、憲法九条改悪論への批判的な意見が相次ぎました。
猪口邦子・上智大教授は国連軍縮大使を務めた経験から発言。「日本が軍縮・軍備不拡散の分野で強い主張をすれば、他国も聞いてくれる。それは被爆国であるだけでなく、日本が戦後、憲法を誠実に生かしてきたからだ」とのべました。改憲論について、「日本国民は半世紀間、憲法の理想の実現を目指して努力してきた。この憲法はまぎれもなく日本国民のもの。それを否定することはこれまでの国民の無数の努力を否定することになる」と批判しました。
小熊英二・慶応大助教授は憲法制定当時の歴史に触れ、当時は米国の国益と憲法九条は合致していたが、一九四八年ごろから、日本を反共同盟国にするために方針転換し、九条改悪を要求しはじめたと指摘。「おしつけ憲法だから自主憲法制定を、という議論は感情的すぎる。逆に対米従属が強まり、東アジア諸国を刺激しかねない」と批判しました。
船曳建夫・東京大教授は「憲法九条を変えれば、(自衛隊が存在する)現実と整合性はできる。しかし、将来的な展望とは合わない。世界はしだいに戦争ができなくなっており、世界の方が日本に近づいている。そのようなときに憲法九条を変えることは国家百年の計ではない」と強い懸念を示しました。
日本共産党からは石井郁子、塩川鉄也両議員が質問に立ちました。