2004年5月13日(木)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】イラク・アブグレイブ収容所での米兵によるイラク人拷問・虐待を調査した駐留米軍のタグバ陸軍少将は十一日、上院軍事委員会の公聴会で証言し、同収容所の指揮権は軍情報部が実質的に握っていたとの見方を示しました。また「虐待は情報を得るための意図的手段」だったとの国際赤十字委員会の見解について、「その通りだ」と認めました。
同少将は、軍情報部や中央情報局(CIA)の調査を勧告したことを明らかにしました。犯罪に問われている一部の憲兵のみならず、米軍と情報部の組織的な関与について捜査が進むことになります。
タグバ少将は、問題となった収容者虐待事件を調査し内部報告書をまとめた人物。
同少将は、「指導力の欠如があった」「旅団の司令官から下部に至るまで、規律と訓練の欠如、管理の不行き届きがあった」と証言。アブグレイブ収容所の責任者だったカーピンスキー准将(停職処分)らに問題があったと指摘しました。
タグバ少将はまた、米軍情報部の方針が同事件を招いたという「証拠は得られなかった」とする一方、「軍情報部がかかわったとされる、いくつかの証拠をもとに、別の捜査をするよう進言した」と発言。軍情報部、CIAが組織的に関与した疑いがあることを示唆しました。
同少将の上司にあたるケンボーン国防次官(情報担当)は、軍情報部らの「職員が尋問をした」が、組織として虐待を指示したことはないと否定。米軍部隊は「イラクでジュネーブ条約を適用していた」として、タグバ少将とは矛盾する証言をしました。