日本共産党

2004年5月15日(土)「しんぶん赤旗」

拷問・虐待の共犯にならない

来月4日に抗議行動

イタリア

イラク即時撤退 全野党が要求


 【ローマ=浅田信幸】「もはや道義的な正当化理由も存在しない」「拷問に責任を負うべき国の共犯者になるわけにはいかない」―バグダッドの拘束イラク人に対する拷問・虐待の相次ぐ暴露で、イタリアでは派遣部隊の撤退を主張する声が高まっています。

つかんでいた

 ブッシュ米大統領が国防総省を訪問し、ラムズフェルド国防長官への支持を表明した翌日には、イタリア派遣部隊も以前からアブグレイブ収容所で拷問・虐待の事実をつかんでいた事実が発覚。これまで即時撤退を主張してこなかった野党の左翼民主党や「オリーブの木」は十二日、「時間は過ぎた」「これ以上一日もイラクにいる必要はない」との立場を明らかにし、すでに「即時撤退」の決議案を提出している共産主義再建党などとともに全野党が足並みをそろえました。

 ベルルスコーニ首相は拷問・虐待の事実も「わが国の兵士がイラクで遂行している平和と自由の任務を曇らせることはない」とのべ、撤退要求に耳を傾けようとはしていません。

動揺が広がる

 しかし、与党の一角を占める中道右派政党キリスト教民主センター(CCD)のカジニ下院議長は「イラクにおける任務全体に影を投げかける懸念すべき現実が浮かび上がった」と表明。動揺が広がっています。

 こうした中、ローマ解放記念日の六月四日に予定されているブッシュ米大統領の訪問と記念式典への参加問題が注目されています。

 左翼連合市政のローマは、ブッシュ大統領のいない六日に公式の記念行事をおこなうことを決定しました。またイラク戦争反対の広範な組織を結集した「戦争を止めよう」委員会は、ブッシュ氏のローマ訪問に抗議する全国規模のデモを四日当日、ローマでおこなうことを確認しました。

 同委員会のフラトリアンニ氏は「イラクで起こっている事態は、人道や平和、復興のためではなく、逆の事態であることが誰の目にも明らかだ」と語ります。当日のスローガンなどは未定ですが、「イラク占領の停止、イタリア部隊の即時撤退、ブッシュ米大統領のローマ訪問抗議」の三つが入ることは確実だといいます。

 イタリアは米英に次ぐ三千人近い部隊をイラクに派遣していますが、世論では派兵反対が多数。イラク問題は一カ月後の欧州議会選挙の最大の争点にも浮上しており、ベルルスコーニ政権にとっては厳しい情勢が続きそうです。


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