2004年5月16日(日)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】イラク中南部のシーア派聖地ナジャフを包囲している米軍は十五日、ナジャフ北方のシーア派聖地カルバラ中心部に侵攻しました。前日にはナジャフで最も神聖なアリー廟(びょう)付近に侵攻しており、米軍がイラク人口の六割以上を占めるシーア派の二カ所の聖地に奥深く入り込んだことで、事態はかつてない重大局面を迎えています。
現地からの報道によると、米軍によるカルバラ侵攻は、中心部のイマーム・フセイン廟近くに達し、サドル師支持民兵部隊と交戦した結果、少なくともイラク人二人が死亡、七人が負傷しました。
十四日から十五日早朝にかけては、南部ナシリヤで、サドル師支持とみられる武装勢力が連合軍駐屯地に迫撃砲やロケット弾を断続的に撃ち込み、イタリア軍兵士を中心に約二十人が建物から出られない状況となりました。
さらに南部アマラ付近でも十四日、英軍とサドル師支持とみられる武装勢力との交戦が発生し、イラク人約二十人が死亡、英軍側にも負傷者二人がでました。北部モスルでは十五日、イラク兵求人センターが迫撃砲攻撃をうけ、イラク人四人が死亡、十九人が負傷する事態も発生しました。
一方、首都バグダッドでは十四日、南部と北部であわせて米兵三人が何者かの攻撃をうけて死亡、イラク戦争開戦以降の米兵死者総数は七百八十人に達しました。