日本共産党

2004年5月16日(日)「しんぶん赤旗」

懇親会、香典など198万円

5年間 年金保険料を社保庁長官流用


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国民の貴重な保険料が社会保険庁幹部の交際費に…。写真は社会保険庁が入る中央合同庁舎第五号館=東京・千代田区

 歴代社会保険庁長官が五年間に、懇親会などの各種会費、香典代として百九十六件、約百九十八万円を年金保険料や健康保険料から支出していた――。こんな実態が政府答弁書で十五日までにわかりました。これは、保険料を社会保険庁の事務費に流用していいとする法改悪(一九九七年成立)によって起きている事態で、これに賛成した政党の責任も問われています。政府答弁書は民主党の長妻昭衆院議員に答えたもの。

 これによると、一九九八年度から二〇〇二年度の間に、「交際費」名目で、歴代同庁長官が保険料から支出していた香典代、各種会費の合計は別表のとおり。最高に使った長官は九十六万円もありました。

 同じ期間の社保庁長官の交際費総額は二百五十万五千円でした。

表

 また交際費以外に、同庁職員宿舎建て替え費用にも保険料が流用されています。この費用は、九八年度から〇四年度(予算分をふくむ)の間に、九十九億七千七百二十八万円にも。宿舎の維持管理補修にかかわる費用は、同期間で三十億九千五百十八万円です。

 このほか、同庁幹部職員らが使う公用車の購入費として、同期間に八億千二百八十七万円もあてられています。

 さらに、社会保険事務所の年金相談員や事務補助員など非常勤職員の人件費にも保険料が。九八年度から〇二年度の五年間に、五百五十一億六千八百十六万円が支出されていました。

自公推進の法律で可能に

 社会保険庁長官の香典代など交際費や職員宿舎の建設、公用車の購入まで年金保険料から流用できるようになったのは、一九九八年度からです。

 「財政再建」「赤字国債発行ゼロ」を掲げた橋本内閣のもと、九七年十一月に自民、社民、さきがけ各党の賛成で「財政構造改革の推進に関する特別措置法」が成立しました。このなかに一般会計の負担を減らすために国庫財源で出すべき年金事務費を年金保険料の積立金から「流用」できる特別措置が盛り込まれたのです。

 事務費は「業務取扱に関する費用」(厚生年金)、「業務の執行に要する費用」(国民年金)とあいまいな規定で、社会保険庁長官の交際費から職員の健康診断費用、海外出張費にまで拡大されていきました。

 この特別措置は二〇〇三年度で期限切れでしたが、小泉内閣は、「平成十六年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律」(特例公債法)をことし三月二十六日、自民、公明両党の賛成で成立させ、保険料でまかなうことを継続しました。

 自民、公明などはムダ遣いに手を貸したことになります。


まったく論外

 全日本年金者組合・岡田勲書記長の話 庶民はギリギリの暮らしの中、必死の思いで年金の保険料を払っています。それなのに本来一般財源でまかなうべき社会保険庁の事務費に保険料を流用し、しかも長官の香典代にまで支出しているのはまったく論外です。到底、国民が納得できるものではありません。

 保険料流用を可能にした財政構造改革特別措置法や、流用を存続させる特例公債法を通した自民、公明与党の責任はきわめて重いといえます。

 政府・与党は、年金積立金の株運用による損失や、グリーンピアの破たんなど保険料ムダ遣いの責任をとっていません。さらに国会審議のなかで年金改悪法案の重大なごまかしが明らかになりました。こんな政府・与党に国民に痛みを押しつける法案を提案する資格はありません。ただちに法案を撤回すべきです。私たちは参院での廃案をめざして全力をあげます。


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