2004年5月18日(火)「しんぶん赤旗」
年金改悪法案は、十八日から参院厚生労働委員会で論戦が始まります。会期末(六月十六日)まで一カ月を切ったもとで、政府案の重大な問題点が浮かび上がり、国会議員の国民年金保険料未納問題に国民の怒りが沸騰。法案の今国会成立に反対する世論が六割を超えています。このまま強行することには、大義も道理もありません。
政府案をめぐっては、保険料の上限を固定し、給付水準は現役世代の50%を確保――とした「二枚看板」がごまかしだったことが明らかになりました。国民年金保険料は「上限」とされた月額一万六千九百円を超えて賃金、物価とともに上昇すること、給付水準の「50%確保」は受給開始の六十五歳時点のことで、その後は下がり続けることを政府も認めたのです。
ところが、小泉純一郎首相は十五日、青木幹雄参院自民党幹事長らと会談し、年金法案の成立に全力をあげることを確認。公明党も「無理してでもやっておいてよかったと思ってもらえるため頑張る。一歩も引くつもりはない」(冬柴鉄三幹事長、十六日、富山市の演説会)と、あくまで今国会成立をゴリ押しする姿勢です。
年金法案を決める権限をもつ国会議員の保険料未納問題は、国民への誠実な説明と対応が避けられない問題です。マスコミの世論調査でも、全議員の納付状況公開を求める声は78%(「東京」十七日付)にものぼっています。
しかし、自民党は所属国会議員の公表を拒否。国民に事実をひた隠しにしたまま法案を押し通そうとしています。
こうした自民、公明両党の姿勢に、各紙の社説でも「与党が法案成立に向けて突っ走るのを認められるだろうか。とてもそうは思えない」(「朝日」十六日付)、「年金制度改革関連法案は出し直すしかない」(「毎日」十五日付)、「法案をまともに審議する環境は失われた」(「東京」十五日付)など、法案の今国会成立見送り、撤回を求める論調が相次いでいます。
山岸嘉昭記者