日本共産党

2004年5月19日(水)「しんぶん赤旗」

米が発表世界人権報告

米軍の虐待・拷問一切ふれず

「イラクに人権省設立」強調


 【ワシントン=遠藤誠二】米国務省は十七日、世界各国での人権の状況とそれをめぐる米国の取り組みを報告する『人権と民主主義への支援 米国の記録二〇〇三―〇四』を発表しました。世界百十カ国での人権問題について、調査・分析し評価を下していますが、イラクでおこなったイラク人虐待・拷問など米国による人権侵害には沈黙しています。

 国務省による人権報告は、毎年出されているものです。今年は、五月初旬に発表される予定でしたが、米兵によるイラク・アブグレイブ収容所でのイラク人虐待問題が波紋を広げ、延期されていました。

 報告は、世界各国での人権状況について地域別に報告。イラクについては、「人権侵害が著しかったフセイン政権」を「米国と連合国が追放した」と成果を強調。また、米国は(1)人権省の設立(2)人権を擁護する非政府組織(NGO)結成への支援(3)宗教の自由、女性の権利向上の奨励―などをおこなってきたと説明しています。

 報告ではさらに、「反拷問を含めた国際条約を採択する」ことなど、フセイン政権後のイラクが人権をめぐる国際基準を順守するよう多国間での努力を続けてきたと指摘していますが、ジュネーブ条約など人権をめぐる国際基準を無視し、米軍が収容所などでイラク国民におこなってきた虐待や拷問などについては一切言及されていません。

 アジア地域においては、中国、北朝鮮、ミャンマーなどを批判。北朝鮮をめぐっては、「一九七〇、八〇年代におきた北朝鮮による日本人誘拐問題の解決をはかる日本政府の努力を支持する」として日本人拉致問題に言及し支持をうたっています。


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