2004年5月19日(水)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】イラクの首都バグダッドで十七日、自動車爆弾によりイラク統治評議会のイズディン・サリム議長(本名アブドルザハラ・オスマン・ムハンマド)が殺害された事件は、イラク国内に衝撃を与え、米占領当局の任命した同評議会内部からも占領当局の責任を追及する声が相次いでいます。
サリム議長の死亡を報じたカタールの衛星テレビ・アルジャジーラは十七日、イラクの政治評論家ハニ・アショル氏の「『主権移譲』を前にイラク人が治安改善を切実に求めている最中に発生したもので、米国の占領政策の明らかな失敗だ」とのコメントを紹介しました。
また、占領当局との深いつながりを指摘されてきたチャラビ統治評議会委員も「米国の治安計画は失敗した。明確な主権をイラクが持つ以外に選択肢はない」と主張。同評議会のオスマン委員も「治安状況が現状のままなら、イラク人の政府は弱体となろう。なぜなら新政府は(治安維持の)適切な機能を持たないからだ」と述べています。
軍事占領の方針を変えない米軍当局は六月末までの「主権移譲」計画に変更はないと強調しています。しかし、今回の事件で、完全な主権を求めるイラク国民との溝が拡大することが避けられず、その計画自体に影響が出るのではないかとの見方が強まっています。