2004年5月21日(金)「しんぶん赤旗」
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自民・公明の与党と民主党が有事関連法案を午前中の衆院有事法制特別委員会で採決し、午後の本会議で衆院を通過させた二十日、国会の衆院議員面会所は「こんな暴挙は断じて許せない」と知らせをきいた人たちが次々と集まりました。採決後、抗議行動を展開し、「怒りを力に参院段階で必ず廃案にしよう」と決意を固め合いました。
午前十時二十五分。早々と委員会で採決されると、面会所に詰めていた人たちは中継のモニターをにらみつけました。
日高教の工藤毅副委員長は「委員は政府案をおうむがえしにくりかえすばかり。国民をだまし続けて採択したことがよくわかる」。香川県からかけつけた国家公務員の男性(50)は「自治体が管理する港湾が戦争出撃のために自由に使えるようになり、事実上の軍港となる。こんな法案をいとも簡単に採決するとは、国民をばかにしている」と語気を強めました。
「早朝、地域の仲間たちに呼びかけ、一緒にきた」という新日本婦人の会豊島支部の斉藤政代さん(64)は「戦争協力のための訓練をさせようという法案が成立すれば、戦前の隣組制度のように市民生活も息苦しくなると思う。抗議したい」と語っていました。
午後の本会議も開会から四十五分で採決。「もう採決したの」「ひどい」と怒りの声があがります。採決後、有事法制センター、安保破棄中央実行委員会、国民大運動実行委員会、全労連が呼びかけ、百五十人が面会所に。「運動によって政治は変えられる。参院段階で廃案に追い込もう」と全労連の熊谷金道議長が訴えると、大きな拍手がわきあがりました。
横浜市従の高橋ヒサミさん(33)は「四十万字ともいわれる法案を審議も尽くさずに採決する暴挙を肌身で感じました。まだ有事法制が完成したわけでない。まわりの青年に今日のことを語っていきたい」。全日本民医連の森高志さん(28)も「学習会で医療技術者が戦争に引っ張られていったことを知った。戦争に動員される法案があっけなく通ってしまったことにびっくりした。参院での悪法阻止へたたかっていく」とのべていました。
安保破棄中央実行委員会は二十日、政府・与党が有事関連法案を衆院本会議で採決強行したことに対し、抗議の声明を発表しました。
声明は、有事法案がアメリカの戦争に自衛隊を参戦・協力させ、国民を罰則付きで強制動員する憲法じゅうりんの悪法であることがますます明らかになったと指摘。またイラクの現実が、米軍の戦争がいかに無法であるかを明らかにしているとし、「有事法案の道は、世界の平和の流れに背を向けた孤立化を進む道である」とのべています。参院での廃案をめざし、世界と日本の心ある人々と手をつなぎ、たたかいぬくと表明しています。