2004年5月22日(土)「しんぶん赤旗」
厚生年金加入企業の会費などで運営され、厚生労働省の補助金・委託費を年間十六億円(二〇〇二年度)受けている社団法人「全国社会保険協会連合会」(全社連)が開催する「理事セミナー」や「打合会」「通常理事会」などが、観光、ゴルフ付きだったことが本紙入手の資料でわかりました。
全社連は健康保険や厚生年金の「被保険者及び被扶養者の福祉を図る」ことを目的に、四十七都道府県の社会保険協会を会員として設立された公益法人です。
本紙は、二〇〇〇年十一月九日の全社連総務部長から全国の社会保険協会専務・常務理事あての「理事セミナー開催」の連絡文書を入手しました。
これによると、セミナーは同月二十二日午後一時四十五分から「千葉厚生年金休暇センター」で開催、同六時半からは部屋を移して「懇親会」。翌日は「親睦(しんぼく)ゴルフ」に参加する人は、朝六時十五分にホテルを出発。終日「新千葉カントリー倶楽部」でゴルフに興じる日程になっています。送迎のバスは無料です。
ゴルフをしない人は、マザー牧場やアクアライン(東京湾横断道)海ホタル見学という観光に参加する仕組みになっています。
参加費は、宿泊費が七千円、ゴルフが一万円、観光が五千円と格安の大サービスです。これら遊興費の実費と格安の参加費の差額は、全社連が一般会計から出していました。
他の会議も同様です。二〇〇一年七月の「関東甲信越地区打合会」は千葉のホテルで二時間打ち合わせをし、翌日は「懇親ゴルフ」。
同年十月の「理事会・総会」は横浜のホテルで午後三時半から理事会・総会、六時から懇親会、翌日はゴルフか観光の予定。
同年十二月の「理事セミナー」は午後三時からセミナーのあと、五時十五分から「懇親会」。翌日は宿泊先の品川プリンスホテルか高輪プリンスホテルを七時すぎに出て、「平塚富士見カントリークラブ」で夕方までゴルフか、遊覧船で観光のどちらかといった具合です。
全国社会保険協会連合会の話 理事セミナーは年に一回、全国の社会保険協会の会長と役員に参加してもらっているので、会議の翌日に健康づくりということで(ゴルフ代などの差額を)全社連が一般会計(負担金)から出している。平成十四年(二〇〇二年)からはそういう(ゴルフ・観光)ことはやめている。
全社連 全社連の役員は、常勤役員のうち伊藤雅治理事長が元厚生労働省医政局長、二人の常務理事が厚生労働省と社会保険庁出身という典型的な天下り団体です。各都道府県の社会保険協会とあわせると、百七十五人も年金官僚が天下りしています。二〇〇一年当時の理事長の幸田正孝氏は厚生省事務次官退任後天下り先をわたり歩き、三億五千万円もの退職金や報酬を得たと指摘されています。 四十七都道府県の社会保険協会には厚生年金の加入企業約百六十万社のほとんどが入会させられ、年間五十五億円もの会費が納められています。そのうち五千三百五十八万円(二〇〇二年度)が全社連に負担金として上納されています。 |