2004年5月23日(日)「しんぶん赤旗」
米軍の戦争に自衛隊と自治体、国民を動員する有事関連法案の採決が衆院本会議で強行され、年金改悪法案、道路公団民営化法案とあわせて重要法案はすべて参院に論戦の舞台が移りました。
「波乱含み」といわれる国会情勢の焦点となっている年金改悪法案をめぐっては、与党が二十一日の参院厚生労働委員会理事懇談会で、三十一日に中央公聴会を開くよう提案してきました。
国民の意見を聴く場である公聴会は必要ですが、審議は始まったばかりです。にもかかわらず与党が早期開催を提案してきたのは、国会会期末(六月十六日)に近づく前に採決の環境を整えようというねらいからです。
週明けに再度協議が行われますが、与党側は二十五日にも開催の議決をねらっています。
政府案をめぐっては、保険料の上限を固定し、給付水準は現役世代の50%を維持する――とした二枚看板がごまかしだったことが明らかとなりました。さらに、国会議員の国民年金の未納問題では、厚生労働副大臣の未納を早くから知りながら衆院での採決までひた隠しにしていた坂口力厚労相の責任問題も新たに浮上しています。
国民の中から「一から出直せ」の声が高まっており、どの世論調査でも政府案を通すべきではないという声が七割にのぼっています。政府案は廃案以外にありません。
自民、公明と民主が共同「修正」して衆院通過を強行した有事関連法案は、二十六日にも参院本会議で審議入りがねらわれています。
共同「修正」案は、大規模テロなども「有事対応」に組み込むもので法案の性格を大きく変えるものです。しかし、衆院に提出されたのは採決のわずか二時間前でした。
憲法と日本の進路にかかわる重大問題であり、会期末が迫ったもとで徹底審議も尽くさず、三党だけで数を頼んで強行することは許されません。
道路公団民営化法案は二十四日に地方公聴会、二十五日に中央公聴会が行われます。
道路公団をめぐっては細田博之官房長官が公団のファミリー企業から三千百万円もの運転手給与の肩代わりを受けていた問題が発覚しました。
ムダな道路建設を続ける仕組みを温存する法案の問題点とともに、こうした政官財癒着の徹底解明も焦点となります。
日朝首脳会談について小泉首相が二十五日衆院本会議、二十六日参院本会議で報告し各党の質疑が行われる見通しです。