日本共産党

2004年5月23日(日)「しんぶん赤旗」

拷問・虐待の新証言つづくなか

幕引き図る米政権

議会には深刻な亀裂


 【ワシントン=浜谷浩司】米軍によるイラク人収容者拷問・虐待の根深さが一段と明らかになるなか、ブッシュ米政権は、事件は“一握りの不心得者による”として幕引きを図っています。

 ワシントン・ポスト紙二十一日付は、バグダッド近郊のアブグレイブ収容所で拷問を受けた収容者の証言と、米兵が収容者に犬をけしかけるなどした、虐待の新たな写真やビデオを掲載しました。

 肉体的苦痛や性的虐待などすでに表面化した事実と並んで、「イスラム教を非難したり、豚肉や酒の飲食をするよう強制された」(証言)との精神的拷問も明るみに出ており、拷問・虐待の衝撃的な映像とともに問題の深刻さを強く印象づけています。

 これにたいし、アーミテージ国務副長官は二十一日、拷問の犯行者への処罰の対象は「七人よりももう少し増えそうだ」としながら、「どんどん広がるということにはならない」と発言。ラムズフェルド長官にいたっては、七人を軍法会議にかけることで、「米国が人間を尊重する民主主義の国だということを世界に示した」と繰り返しています。

 一連の事件は、与党・共和党の議員にも打撃を与え、深刻な亀裂をもたらしています。イラク戦争の行方そのものに懸念が強まるなか、十一月に全員が選挙の洗礼を受ける下院では、拷問・虐待事件に伴う世論の動向への恐れがあります。

 ブッシュ大統領が二十日、珍しく議会を訪れて両院の共和党議員と懇談したのは、浮き足立つ議員に「かつ」を入れたものとみられています。

 同日、ラムズフェルド国防長官も議会で、秘密報告を行いました。その直後、共和党のフリスト上院院内総務は「米国はなにより戦争をたたかっている」と強調、そのもとで調査は「適切なバランス」が必要だと述べました。

 同党のワーナー上院軍事委員長も、調査は終わっていないが、「われわれは前進し、イラクとアフガンでの任務を完了しなければならない」と述べ、「大統領への支持」を表明しました。


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