2004年5月23日(日)「しんぶん赤旗」
【ベルリン=片岡正明】イラク情勢の悪化や米国のイラク人拷問・虐待のため、イラクに派兵しているポーランドとハンガリーでイラク戦争反対の世論が強まっています。両国では派兵問題が六月の欧州議会選挙の大きな争点となっており、派兵反対勢力が支持を伸ばす一方、派兵を決めた現政権与党が大きく支持を減らす傾向にあります。
ポーランドの世論調査機関CBOSが二十一日発表したところによると、五月七日から十日にかけて実施した世論調査で74%の人がポーランド部隊のイラク駐留に反対を表明し、先月よりもさらに8ポイント増えました。イラク派遣部隊のできるかぎり早い帰還を求める意見は63%を占めました。イラク駐留支持は7ポイント減ってわずかに22%でした。
ハンガリーでは四月二十五―二十八日に実施された世論調査で、77%がハンガリー部隊の帰還を求め、派兵維持の15%を大幅に上回りました。
すでに各党が欧州議会選挙の運動に入っていますが、ポーランドでは右翼野党の「自衛」、ポーランド家族連盟などが積極的にイラク撤兵をキャンペーンし、「欧州議会選挙をイラク撤兵を求める国民投票にしよう」(ポーランド家族連盟)などと呼びかけています。これらの党が支持率を伸ばしているのに対し、派兵を推進している与党の民主左翼連合の支持率は10%を切ったままです。
ハンガリーでは最大野党の青年民主連盟(フィデス)が、「イラク情勢が変化した今、国連が主役にならなければイラク派遣部隊を引き揚げるべきだ」と主張。フィデスの支持率は、派兵を決めた与党・社会党を大きく上回っています。
EU加盟国でイラクに派兵しているイタリア、英国、ポルトガルでも、派兵は選挙戦の大きな争点になり、いずれも与党が苦戦しています。