日本共産党

2004年5月24日(月)「しんぶん赤旗」

年金改悪法案通したら…

前回改悪と“合体”給付3割以上削減に


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 参院で審議中の年金大改悪法案が成立すると、国民年金、厚生年金とも年金給付水準が現行より三割以上削減されることが明らかになりました。今回の改悪法案に盛り込まれている実質15%の削減に加え、二〇〇〇年三月の年金改悪による年金受給開始後の賃金スライド凍結によって、二重に給付水準が下げられるためです。

 厚生労働省は本紙の取材に、この“二重の切り下げの仕組み”は、すでに年金を受給している人も、これから受給する人も「基本的に同じ」と言明。障害年金や遺族年金なども含まれるとしています。

 政府・与党は当初、厚生年金の給付水準について、モデル世帯では、現行の現役世代の平均手取り年収の59・3%が、法改定後も50・2%確保されると説明。15%程度の削減で下げどまるとしてきました。ところが日本共産党の小池晃参院議員の追及(十二日、参院本会議)に坂口厚労相は、50%以上の給付水準が確保されるのは受給開始時点のことであると答弁。開始後はさらに下がりつづけ、今年四十五歳の人の場合、受給開始から二十年後には、40・5%まで低下することを認めました。

 こうした給付水準の削減は二つの要素でおこります。一つは、今回の改悪法案に盛られた「マクロ経済スライド」による給付削減です。もうひとつは、年金をすでに受給している人にたいして、現役世代の賃金上昇分を受給額に反映させる賃金スライドを凍結していることです。これは賃金スライドをおこなった場合との差が二割を超えるまで凍結されます。

 たとえばモデル世帯で夫が今年四十五歳の場合、現行59・3%の給付水準は、「マクロ経済スライド」による削減で、受給開始時点(六十五歳)にはすでに50・2%にまで下がっています。さらに受給開始後も賃金スライド凍結によって給付水準は二割下がります。給付水準は59・3%から40・16%へ低下。カット幅は32・3%にもなります。2004年度価格で、二十三・三万円もらえるはずだった年金が、実質十五・八万円の水準に減ることになります。

 国民年金も32・3%削減されることになり、月四・六万円の平均受給額は、実質三・一万円の水準に下がってしまいます。


 マクロ経済スライド 年金加入者の減少率と、平均的な年金受給期間(平均余命)の伸び率を「調整率」と称して、賃金または物価が上昇しても「調整率」(年平均0・9%)を差し引いた残りの率しか年金額を引き上げない仕組み。かりに物価が1%上昇しても、年金額の上乗せは0・1%にとどめられるため、年金の実質的価値は年々下がることになります。


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