日本共産党

2004年5月24日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

払えない 少ししかもらえない

年金が飛んでいく!


 年金の法律を改正しようと、いま国会で論議の真っ最中。ところが政府は、国民年金の毎月払う保険料が十三年連続引き上げた後は上がらない、といっていたのに実は、天井知らずだったことがわかったのです。その一方で、受け取る年金額の水準が切り下げられていくこともはっきりしました。「これじゃ保険料は払えない」――「年金」は青年のなかで大問題になっています。菅野尚夫記者

保険料 上がりつづけるなんて

図

 藤沢真也さん(23)=埼玉土建八潮支部青年部長

 「えッ!うわぁー。こんなの払えない」。国民年金の保険料があがり続けることに、驚きの声をあげます。

 「毎月督促のはがきがくるし、親もうるさく言う。強制だから」とやむなく保険料を払うように。「上がりつづけるのじゃ我慢できない」

 社長を含む九人の仲間でつくる空調設備会社で働いています。「会社も金がなく、厚生年金に入っていないです。国民年金に入っているのも僕だけですよ」

 藤沢さんは日給月給制で、手取りは月平均十五―十六万円。仕事を回してもらう会社は中小零細業者なので、「倒産したあおりで仕事がなくなる」と心配も。

 食費を削る、生命保険に入らないなど余分な出費を抑えています。「高い場所で作業をするので転落死したり、大けがをする危険をいつも感じて働く。本当は生命保険はかけたい」


払えない。貯金していた方が…

図

 木村和弘さん(23)=フリーター、東京都台東区

 国民年金の保険料を、一年半ほど払っていません。「絶対払えないから」だといいます。

 木村さんは、東京・新宿区でサービス業のバイトをしています。時給千円。午前九時から午後五時、午後三時から午後十一時までの二つのシフトで働いています。「少ないときは月八万円しか収入がないときもある」

 保険料を払っていないことについて「掛け金は上がりつづけ、もらう分が少なくなる。貯金していたほうがいい」。

 出費は、食費に約二万円、ローン返済八千円、携帯電話料金一万五千円。ラーメン店を営む父の後継者として専門学校で学び、中華料理の調理師の資格をとりましたが、店の経営は消費税が5%になった以降売り上げが四割減。「バイトに出て現金収入を得ないといけなくなりました」

 木村さんは「親は『ラーメン店は私らの代で終わり』といってます。消費税5%で大打撃を受け、さらに増税になると廃業の道しかない」。


国民年金保険料 若者の半数が“未納”

図

反対の声 大きくしなきゃ

 佐々山美穂さん(25)=仮名、フリーター、東京都多摩市

 児童養護施設でアルバイトをしていて、月収十万円です。仕事が少なく、月数万円のときもあります。家族と同居していますが、いま自炊中。「昼はお弁当、夜は値引きになったおそうざいを買ったり、節約節約で頑張っています」

 正職員を目指し、いま介護福祉士の資格を取るために、通信教育で学んでいます。その月謝が三千円。アトピーの治療に医療費が月六千円はかかるほか、二万円家計に入れています。

 「年金は期待してなかったけど、年金をもらえるときの額が少なくなっていくなんて詐欺みたい。政治はこんなものとあきらめないで、反対の声を大きくしないとだめですね」


雇用、社会保障を改めないと若者が弱者として置き去りに

 『若者のなかの世界 世界の中の若者』の著者、太田政男・大東文化大学教授(青年期教育論)の話

 三人の暮らし向きを見ると、改めて若者が大変な状況に置かれていることが分かります。それなのに年金の保険料を天井なしに上げていく。払えない若者が増え、年金制度が危うくなります。

 フリーターの数は政府の統計でも四百十七万人にのぼります。若者の高い失業率。若者が就労できない、就労しない社会の未来は、年金制度はもちろん日本の社会保障制度に重く、暗い影を落とします。

 不況問題とともに根本には、安上がりのパート、派遣など非正規労働者を増やす大企業と国が一体ですすめている雇用政策が問われています。ここを改めない限り、年金を払わない・払えない若者は増えつづけます。

 親から自立し、結婚することも困難な若者。弱者として置き去りにされて、年金を払う気分にもなりません。

 こうした雇用問題、社会保障の根本から改革することとあわせた、抜本的な年金制度にする必要があります。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp