2004年5月25日(火)「しんぶん赤旗」
【ロンドン=西尾正哉】英紙ガーディアン二十四日付は、イラクのフセイン政権の著名な科学者モハマド・イズメルリ氏(60)が、収容されていた米軍の施設で変死したと報じました。同紙は、遺族が依頼した解剖結果から米軍による虐待死の可能性が高いと指摘しました。
米軍はイズメルリ氏を、二百人からなるフセイン政権要人の容疑者リストに載せていました。
ガーディアン紙によると、同氏は昨年四月、米軍に拘束され、死亡した時点ではバグダッド空港の米軍収容施設に移されていました。家族の話では、証人として収容されており、今年一月に面会した時は元気だったといいます。
しかし二月、赤十字国際委員会は家族に同氏が死亡したことを伝えました。遺体の後頭部に明らかな傷があり、家族は解剖を依頼。その結果、バグダッド病院の法医学責任者は「後頭部への突然の衝撃が原因」「誰かが後ろから、おそらく鉄の棒か拳銃か何かで彼の頭部を殴ったのが原因だ」と断定しました。米軍は「脳への加圧」が原因としているといいます。
同紙は、「遺体の後頭部に二十センチほど切開した跡があり、米軍医が救命手術をしたのは明らかだ」と指摘しました。
家族は、解剖結果をイラク人の裁判官に提供しましたが「連合軍に対してはなにもできない。起こったことは歴史にすぎない」と言われたといいます。